有茎血管柄付き腓骨移植の2例

交通事故などの高エネルギー外傷では,下腿の粉砕骨折はしばしば経験するが,治療に難渋することがある.下腿遠位部は軟部組織の量が少なく,十分な血行が得られないために感染の遷延化が生じたり,偽関節が生ずることが報告されている.そこで,我々は脛骨骨折に対して血管柄付き腓骨移植を施行した. 症例1:36歳男性.交通事故後の脛骨開放骨折で,多数回の手術を施行されたが偽関節となった.周囲の軟部組織血行は不良であり,有茎血管柄付き腓骨移植をおこなった上,逆行性のSural flapを用いて移植骨を被覆した.症例2:58歳男性.木材の圧挫による脛骨遠位端粉砕骨折に対し,創外固定にて治療行うも骨癒合認めず,受傷後...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 57; no. 1; pp. 31 - 35
Main Authors 入江, 弘基, 加藤, 悌二, 山下, 武士, 菊川, 憲志, 瀬形, 建喜, 米村, 憲輔, 水田, 博志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2008
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Summary:交通事故などの高エネルギー外傷では,下腿の粉砕骨折はしばしば経験するが,治療に難渋することがある.下腿遠位部は軟部組織の量が少なく,十分な血行が得られないために感染の遷延化が生じたり,偽関節が生ずることが報告されている.そこで,我々は脛骨骨折に対して血管柄付き腓骨移植を施行した. 症例1:36歳男性.交通事故後の脛骨開放骨折で,多数回の手術を施行されたが偽関節となった.周囲の軟部組織血行は不良であり,有茎血管柄付き腓骨移植をおこなった上,逆行性のSural flapを用いて移植骨を被覆した.症例2:58歳男性.木材の圧挫による脛骨遠位端粉砕骨折に対し,創外固定にて治療行うも骨癒合認めず,受傷後3ヵ月で有茎血管柄付き骨移植を行った.いずれの症例も,4ヵ月免荷の後,部分荷重を開始した.最終観察時には,補助具なく歩行可能であり,良好な成績が得られたので,若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.57.31