高齢者の大腿骨頸部骨折における術後早期死亡例の検討

「はじめに」近年のわが国の老年人口は著しい増加を示し, 骨粗鬆症に合併する骨折も増加している. 高齢者の大腿骨頚部骨折が, 他の骨折と性格を異にするのは, 本骨折が, 患者の生命予後に重大な影響を及ぼす点にある11), 高齢者大腿骨骨折患者の多くは入院時すでになんらかの全身的合併症を有している. その中には周術期の合併症等のため, 不幸な転帰をとる例がある. 当院における術後早期死亡例をもとに患者の生命予後を左右する全身的合併症, および他の因子について検討した. 対象 1996年から2001年3月まで当科で手術を行った60歳以上の大腿骨頚部骨折患者で術後3ヵ月以内に死亡した26例(男性9例,...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in整形外科と災害外科 Vol. 52; no. 2; pp. 406 - 410
Main Authors 山口, 征啓, 鈴木, 裕彦, 三原, 潤二, 大長, 省博, 吉野, 興一郎, 石村, 啓二, 辻, 王成
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2003
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.52.406

Cover

More Information
Summary:「はじめに」近年のわが国の老年人口は著しい増加を示し, 骨粗鬆症に合併する骨折も増加している. 高齢者の大腿骨頚部骨折が, 他の骨折と性格を異にするのは, 本骨折が, 患者の生命予後に重大な影響を及ぼす点にある11), 高齢者大腿骨骨折患者の多くは入院時すでになんらかの全身的合併症を有している. その中には周術期の合併症等のため, 不幸な転帰をとる例がある. 当院における術後早期死亡例をもとに患者の生命予後を左右する全身的合併症, および他の因子について検討した. 対象 1996年から2001年3月まで当科で手術を行った60歳以上の大腿骨頚部骨折患者で術後3ヵ月以内に死亡した26例(男性9例, 女性17例)を対象とした. 年齢は平均83.7(68-88)歳である, 一方, 入院時の検査データおよび病歴が不十分であった例を除外した同期間内で術後6ヵ月以上生存している312例(男性65例, 女性247例)を対照とした. 年齢は平均81(60-97)歳である. 方法 入院時の検査データおよび病歴から, 以下の項目を調査した.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.52.406