軟骨終板のインピンジメントにより整復が困難であった若年者頚椎前方脱臼の1例

頚椎前方脱臼の整復の要は椎間関節嵌合の整復処置である.今回後方からの整復が困難であった稀な症例を経験したので報告する.15歳男性.後頭部を強打し近医にてC5前方脱臼を指摘され当科搬送.初診時所見はFrankel分類:Aであった.画像所見はCTにてfacetの両側嵌合とMRI矢状面にてC5/6に椎間板ヘルニア認めた.同日緊急手術を施行.後方からの術中所見ではC5/6facetは両側とも深く嵌合しており,上関節突起の一部をエアトームにて切除し整復を試みるも,弾力的な抵抗が存在し,十分な整復は困難であった.前方の椎間板軟骨終板が阻害因子と考え,前方進入を追加すると完全に整復できた.通常頚椎脱臼の整復...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 56; no. 3; pp. 377 - 379
Main Authors 植田, 尊善, 益田, 宗彰, 芝, 啓一郎, 加治, 浩三, 林, 哲生, 高尾, 恒彰, 河野, 修, 森, 英治, 弓削, 至
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2007
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.56.377

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Summary:頚椎前方脱臼の整復の要は椎間関節嵌合の整復処置である.今回後方からの整復が困難であった稀な症例を経験したので報告する.15歳男性.後頭部を強打し近医にてC5前方脱臼を指摘され当科搬送.初診時所見はFrankel分類:Aであった.画像所見はCTにてfacetの両側嵌合とMRI矢状面にてC5/6に椎間板ヘルニア認めた.同日緊急手術を施行.後方からの術中所見ではC5/6facetは両側とも深く嵌合しており,上関節突起の一部をエアトームにて切除し整復を試みるも,弾力的な抵抗が存在し,十分な整復は困難であった.前方の椎間板軟骨終板が阻害因子と考え,前方進入を追加すると完全に整復できた.通常頚椎脱臼の整復操作は後方からの進入のみで可能であるが,本症例では軟骨終板が整復阻害因子であり,後方侵入だけでは整復困難であった.無理な整復力は脊髄への障害を引き起こす可能性があるため症例に応じた整復を考慮しなければならない.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.56.377