頚椎椎弓形成術の挿管後に肺塞栓を発症した1例
「はじめに」肺塞栓症は整形外科手術において最も重大な合併症の一つである. 今回, 頚椎症性脊髄症患者で肺塞栓を発症し救命し得た症例を経験したので報告する. 症例 68歳, 女性. 平成9年より手のしびれ, 巧緻運動障害, 歩行障害が出現した. 平成14年1月4日自宅で転倒後症状が増悪. 1月13日突然気分不良となり, 一過性の意識消失, 嘔気があり救急車にて当院に搬送された. 頭部CTは正常であり, 一過性脳虚血発作の疑いおよび頚髄症の診断で整形外科に入院となった. 入院時の所見は腱反射が腕橈骨筋以下で亢進, 病的反射陽性であった. 徒手筋力テストでは左上下肢で筋力低下がみられた. 膀胱直腸障...
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Published in | 整形外科と災害外科 Vol. 52; no. 3; pp. 477 - 480 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
西日本整形・災害外科学会
2003
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Subjects | |
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ISSN | 0037-1033 1349-4333 |
DOI | 10.5035/nishiseisai.52.477 |
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Summary: | 「はじめに」肺塞栓症は整形外科手術において最も重大な合併症の一つである. 今回, 頚椎症性脊髄症患者で肺塞栓を発症し救命し得た症例を経験したので報告する. 症例 68歳, 女性. 平成9年より手のしびれ, 巧緻運動障害, 歩行障害が出現した. 平成14年1月4日自宅で転倒後症状が増悪. 1月13日突然気分不良となり, 一過性の意識消失, 嘔気があり救急車にて当院に搬送された. 頭部CTは正常であり, 一過性脳虚血発作の疑いおよび頚髄症の診断で整形外科に入院となった. 入院時の所見は腱反射が腕橈骨筋以下で亢進, 病的反射陽性であった. 徒手筋力テストでは左上下肢で筋力低下がみられた. 膀胱直腸障害はなく, 日本整形外科学会頚髄症治療成績判定基準(JOA score)は4.5点であった. 血液生化学所見はCRPが12.66と上昇を認めた以外は異常がなかったが, ボディマス指数(BMI)が29と肥満傾向であった. 心電図上の異常や下肢静脈瘤はみられなかった. 頚椎X線ではC5/6で椎間板の狭窄がみられた. また, MRIでは脊柱管の狭窄とT2強調画像でC3/4-5/6レベルに高輝度領域が認められた. |
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ISSN: | 0037-1033 1349-4333 |
DOI: | 10.5035/nishiseisai.52.477 |