人工股関節全置換術後の歩行の検討

「はじめに」変形性股関節症は, 股関節の機能障害のために異常歩行を呈する代表的な疾患である. 股関節手術を受ける患者にとって歩容改善が持つ意義は非常に大きい. そこで当科では, 全ての股関節手術症例に対して歩行解析を行い歩行状態の変化を追跡している. 今回, 人工股関節全置換術(以下THA)前後の歩行の変化を, 歩調と歩行速度など時間 距離因子に注目して検討したので報告する. 対象 対象は2003年3月-2004年7月にTHAを行なった片側変形性股関節症患者のうち, 腰, 膝などの他関節に症状を有さず, 術前に杖なし歩行にて約5秒間の歩行分析が可能であった症例132例(男性20例, 女性112...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 55; no. 1; pp. 61 - 64
Main Authors 植木, 里紀, 重松, 正森, 佛淵, 孝夫, 本岡, 勉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2006
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Summary:「はじめに」変形性股関節症は, 股関節の機能障害のために異常歩行を呈する代表的な疾患である. 股関節手術を受ける患者にとって歩容改善が持つ意義は非常に大きい. そこで当科では, 全ての股関節手術症例に対して歩行解析を行い歩行状態の変化を追跡している. 今回, 人工股関節全置換術(以下THA)前後の歩行の変化を, 歩調と歩行速度など時間 距離因子に注目して検討したので報告する. 対象 対象は2003年3月-2004年7月にTHAを行なった片側変形性股関節症患者のうち, 腰, 膝などの他関節に症状を有さず, 術前に杖なし歩行にて約5秒間の歩行分析が可能であった症例132例(男性20例, 女性112例)とした. ここで選んだ片側症例とは, 健側に疼痛, 可動域制限がなく(JOAスコアでPain40点, ROM20点), X線上も明らかな変形性変化を認めないものである. 平均年齢は60.7歳でX線上のStageは進行期28例, 末期104例, 平均脚長差は1.5cmであった. JOAスコアは平均47.4点(Pain14.4点, ROM10.9点, gait9.7点, ADL12.4点)であった. 方法と調査項目 ニッタ株式会杜製のゲイトスキャン8000を用いて行った. 被検者にセンサシートの上を自由歩行してもらい, それを約5秒間測定した. 測定時期は, 術直前および術後約6か月である.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.55.61