小児期の顎の成長発育に関する研究 : 顎骨骨塩量に関する検索を中心として

「はじめに」インプラント治療や歯周疾患治療の発達とともに, 術前検査や予後判定のために顎骨の骨構築の客観的な評価の必要性が益々高まっている. 骨の内部構造を知るために骨塩量の定量化が現在に至るまで種々の方法で考案され, 日常の臨床や動物実験などに応用されている. しかしながら, 顎骨の骨塩量の定量化は必要性の高まりにもかかわらず臨床に関する報告例が少なく1-3), 特に成長発育期における顎骨の骨塩量測定は極めて少ない1). 骨は常に活発な代謝活動を営み, 単に支持組織として重要であるだけでなく血中のミネラルの恒常性や造血部位の保持など生命現象の維持にとっても必要不可欠な組織である. 骨代謝の基...

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Published in九州歯科学会雑誌 Vol. 58; no. 1; pp. 1 - 7
Main Authors 木村, 光孝, 牧, 憲司, 西田, 郁子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 九州歯科学会 2004
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Summary:「はじめに」インプラント治療や歯周疾患治療の発達とともに, 術前検査や予後判定のために顎骨の骨構築の客観的な評価の必要性が益々高まっている. 骨の内部構造を知るために骨塩量の定量化が現在に至るまで種々の方法で考案され, 日常の臨床や動物実験などに応用されている. しかしながら, 顎骨の骨塩量の定量化は必要性の高まりにもかかわらず臨床に関する報告例が少なく1-3), 特に成長発育期における顎骨の骨塩量測定は極めて少ない1). 骨は常に活発な代謝活動を営み, 単に支持組織として重要であるだけでなく血中のミネラルの恒常性や造血部位の保持など生命現象の維持にとっても必要不可欠な組織である. 骨代謝の基本現象であるリモデリングは間葉系の骨原生細胞由来の前骨細胞, 骨芽細胞, 骨細胞および造血幹細胞由来の破骨細胞によって行われ, ホルモン, 神経, 物理的刺激が関与し, 局所におけるサイトカインあるいは骨基質中に含まれる増殖因子の作用により調節されている. さらに近年, 分子生物学的研究により, 骨芽細胞分化のための第二の遺伝子Osterixの発見4)や破骨細胞の新規受容体Leukocyte receptor complexの発見5)など骨形成, 骨吸収機構の解明が急速に進んでいる.
ISSN:0368-6833
1880-8719
DOI:10.2504/kds.58.1_1