指PIP,DIP関節同時脱臼の2例

同一指における, 近位指節間関節(以下PIP関節)と遠位指節間関節(以下DIP関節)の同時脱臼は比較的稀な損傷である. 今回我々は, 2症例を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告する. 症例1 患者:42歳, 男性 主訴:右示指変形および疼痛. 現病歴:ソフトボール中打球を捕球する際に, 右示指を過伸展され受傷し, 直ちに当科外来を受診した. 既往歴, 家族歴:特記すべきことはない. 初診時所見:右示指にPIP関節での階段状変形と, PIP関節の掌側に約1cmの開放創を認め, 腱鞘が露出していた. X線所見:PIPおよびDIP関節の同時背側脱臼を示し, PIP関節掌側に小骨片を認めた(...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 52; no. 1; pp. 145 - 149
Main Authors 松瀬, 博夫, 田中, 信博, 井上, 博, 吉松, 弘喜, 北川, 敬二, 柳田, 巌, 高松, 徹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2003
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Summary:同一指における, 近位指節間関節(以下PIP関節)と遠位指節間関節(以下DIP関節)の同時脱臼は比較的稀な損傷である. 今回我々は, 2症例を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告する. 症例1 患者:42歳, 男性 主訴:右示指変形および疼痛. 現病歴:ソフトボール中打球を捕球する際に, 右示指を過伸展され受傷し, 直ちに当科外来を受診した. 既往歴, 家族歴:特記すべきことはない. 初診時所見:右示指にPIP関節での階段状変形と, PIP関節の掌側に約1cmの開放創を認め, 腱鞘が露出していた. X線所見:PIPおよびDIP関節の同時背側脱臼を示し, PIP関節掌側に小骨片を認めた(図1). 臨床経過:直ちに, 無麻酔下で徒手整復を行った. まず, 長軸方向に牽引し中節骨基部に掌側方向に力を加えつつ, PIP関節を屈曲するとPIP関節は容易に整復された. しかし, DIP関節は整復されていなかった. 続いて長軸方向に牽引しつつ, DIP関節を一度過伸展し, 末節骨基部に掌側方向の力を加えると整復された(図2). 関節の不安定性はなかった.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.52.145