陳旧性肩関節脱臼骨折に対し観血的治療を行なった一例
【はじめに】陳旧性肩関節脱臼は受傷後3週以上経過したものと定義される.画一的な治療法はなく保存的治療を推奨する報告も散見される.今回,陳旧性肩関節前方脱臼骨折に対し,観血的整復を行った1症例を報告する.【症例】74歳,男性.砂利道で転倒し受傷.左肩痛を自覚し受傷後31日で前医を受診.初診時,左肩関節可動域(ROM)は屈曲30°,外転30°,外旋0度,内旋不可.日本整形外科学会肩関節疾患治療判定基準(JOA score)25点.画像検査で左肩前方脱臼,大結節骨折,肩甲骨関節窩骨折を認めた.手術では周辺軟部組織を十分に剥離することで整復位を得た.術後は4週間のスリングショット固定を行ない,術後23...
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Published in | 整形外科と災害外科 Vol. 72; no. 3; pp. 509 - 512 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
西日本整形・災害外科学会
25.09.2023
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Summary: | 【はじめに】陳旧性肩関節脱臼は受傷後3週以上経過したものと定義される.画一的な治療法はなく保存的治療を推奨する報告も散見される.今回,陳旧性肩関節前方脱臼骨折に対し,観血的整復を行った1症例を報告する.【症例】74歳,男性.砂利道で転倒し受傷.左肩痛を自覚し受傷後31日で前医を受診.初診時,左肩関節可動域(ROM)は屈曲30°,外転30°,外旋0度,内旋不可.日本整形外科学会肩関節疾患治療判定基準(JOA score)25点.画像検査で左肩前方脱臼,大結節骨折,肩甲骨関節窩骨折を認めた.手術では周辺軟部組織を十分に剥離することで整復位を得た.術後は4週間のスリングショット固定を行ない,術後23週時で整復位は良好であった.ROM(屈曲60°,外転45°,外旋35°,内旋L2),JOA scoreは66点へ改善.【考察】観血的治療を行い,著明な可動域改善は得られなかったが除痛効果を認め,再脱臼なく経過し日常生活での満足度も高かった. |
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ISSN: | 0037-1033 1349-4333 |
DOI: | 10.5035/nishiseisai.72.509 |