脊椎手術における硬膜切開後の頭痛は低髄圧脳症によるものなのか

【はじめに】脊椎手術において特に硬膜切開・縫合をした際の重篤な合併症の一つとして遠隔性頭蓋内出血が知られており,術後の頭部画像評価の重要性が認識されている.今回,硬膜処置を行った症例に対し,症状の有無にかかわらず術後に頭部MRIを評価したので報告する.【対象および方法】2019年7月~2022年2月の期間で硬膜処置を行った23症例を対象に,頭部MRI異常所見の有無,頭部症状および四肢神経症状の変化を調査した.男性8例,女性15例,平均年齢57.8歳(25~86歳)であった.【結果】頭部MRIで,硬膜下血種を5例(20.8%),脳梗塞2例(8.3%),悪性腫瘍の脳転移1例(4.2%)をそれぞれ認...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 72; no. 2; pp. 239 - 241
Main Authors 深瀬, 昌悟, 島袋, 孝尚, 金城, 英雄, 山川, 慶, 大城, 裕理, 當銘, 保則, 西田, 康太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.03.2023
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Summary:【はじめに】脊椎手術において特に硬膜切開・縫合をした際の重篤な合併症の一つとして遠隔性頭蓋内出血が知られており,術後の頭部画像評価の重要性が認識されている.今回,硬膜処置を行った症例に対し,症状の有無にかかわらず術後に頭部MRIを評価したので報告する.【対象および方法】2019年7月~2022年2月の期間で硬膜処置を行った23症例を対象に,頭部MRI異常所見の有無,頭部症状および四肢神経症状の変化を調査した.男性8例,女性15例,平均年齢57.8歳(25~86歳)であった.【結果】頭部MRIで,硬膜下血種を5例(20.8%),脳梗塞2例(8.3%),悪性腫瘍の脳転移1例(4.2%)をそれぞれ認めた.術前認めなかった頭痛を8例(33.3%),悪心嘔吐を7例(29.2%)に認めた.硬膜下血種を呈した5例中4例に頭痛を認めた.術後意識障害や四肢神経症状悪化を呈した症例はなかった.【考察】硬膜処置した手術に際して,頭部MRIは重篤な合併症を回避するために有用であると考えられた.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.72.239