初診時に診断に至らず,後日診断に至った高齢者の大腿骨頚部骨折症例に関する検討

高齢者の大腿骨頚部骨折では初診時の画像で診断できず,症状増悪後に診断に至る症例を度々経験する.今回,初診時で診断に至らず,再診時に大腿骨頚部骨折と診断され,人工骨頭置換術を施行した症例を調査した.対象は2012年1月~2017年6月までに大腿骨頚部骨折に対し人工骨頭置換術を施行した242例とした.そのうち初診時に診断に至らず,後日診断に至ったものは15例であった.各症例の年齢・初診~再診期間・Garden分類・HDS-R・骨粗鬆症治療等を調査した.初診・再診時のX線画像が評価可能であった6例はX線所見の比較を行った.平均年齢は85.1歳で診断時のGarden分類は全てⅢ・Ⅳあった.HDS-Rは...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 67; no. 4; pp. 687 - 689
Main Authors 櫻井, 立太, 小宮, 紀宏, 塚本, 伸章, 屋良, 卓郎, 加藤, 剛, 矢野, 良平, 石橋, 卓也, 吉野, 宗一郎, 前, 隆男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.09.2018
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Summary:高齢者の大腿骨頚部骨折では初診時の画像で診断できず,症状増悪後に診断に至る症例を度々経験する.今回,初診時で診断に至らず,再診時に大腿骨頚部骨折と診断され,人工骨頭置換術を施行した症例を調査した.対象は2012年1月~2017年6月までに大腿骨頚部骨折に対し人工骨頭置換術を施行した242例とした.そのうち初診時に診断に至らず,後日診断に至ったものは15例であった.各症例の年齢・初診~再診期間・Garden分類・HDS-R・骨粗鬆症治療等を調査した.初診・再診時のX線画像が評価可能であった6例はX線所見の比較を行った.平均年齢は85.1歳で診断時のGarden分類は全てⅢ・Ⅳあった.HDS-Rは平均14点で骨粗鬆症治療は3例のみ導入していた.前述の5症例では1例を除き,骨折線は明瞭ではなく,再診時にGarden分類はⅢ・Ⅳになっていた.初診時に診断がつかない症例は全体の6%で決して少なくない結果であった.80歳前後の高齢者に初診時の診断困難例が多く,骨折線を認めなくても頻回のフォローやMRI検査を検討するなどの対策が必要である.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.67.687