長橈側手根伸筋起始部における上腕骨裂離骨折の報告

【背景】我々は長橈側手根伸筋起始部における上腕骨裂離骨折を経験した.渉猟しえた限りでは,同部位の骨折について,本邦での報告はない.【症例】症例は20歳男性,階段を仰向けに滑り落ちて左肘関節痛が出現した.肘関節単純X線斜位像とCTで左上腕骨外側顆上稜に骨折を認め,骨折部位と臨床症状から長橈側手根伸筋(ECRL)付着部断裂と診断した.前腕中間位,手関節軽度背屈,肘関節90°でギプスシーネ固定することで,受傷後1ヶ月で症状は軽快した.【考察】ECRL裂離骨折は,停止部裂離骨折である中手骨骨折の報告が散見される.一方で,起始部骨折はなく,類似する報告として腕橈骨筋(BR)裂離骨折の報告3件を認めるのみ...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 70; no. 3; pp. 546 - 549
Main Authors 郷野, 開史, 馬場, 賢治, 岡田, 祥明, 近藤, 秀臣, 石倉, 透, 福原, 志東, 赤星, 正二郎, 有田, 忍, 沖本, 信和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.09.2021
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Summary:【背景】我々は長橈側手根伸筋起始部における上腕骨裂離骨折を経験した.渉猟しえた限りでは,同部位の骨折について,本邦での報告はない.【症例】症例は20歳男性,階段を仰向けに滑り落ちて左肘関節痛が出現した.肘関節単純X線斜位像とCTで左上腕骨外側顆上稜に骨折を認め,骨折部位と臨床症状から長橈側手根伸筋(ECRL)付着部断裂と診断した.前腕中間位,手関節軽度背屈,肘関節90°でギプスシーネ固定することで,受傷後1ヶ月で症状は軽快した.【考察】ECRL裂離骨折は,停止部裂離骨折である中手骨骨折の報告が散見される.一方で,起始部骨折はなく,類似する報告として腕橈骨筋(BR)裂離骨折の報告3件を認めるのみであった.手関節背屈位,肘関節伸展位でECRLが緊張しているときに,外力が加わり裂離骨折を来したものと推測した.【結語】我々はECRL起始部裂離骨折を経験した.単純X線正面像で骨折線がはっきりと認識できない場合,斜位像やCT検査の追加が望ましいと考える.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.70.546