ホメオボックス遺伝子CDX2はサイクリンD1転写抑制を介してヒト膵癌細胞増殖を抑制する

「背景と目的」胎生期の消化管形成に関わる重要な転写因子であるCaudal related homeobox gene type2(CDX2)は, 後腸の分化に関与し, 成人では主に小腸, 大腸の上皮に発現を認める. 膵臓において主に正常膵島細胞に発現するCDX2は, 前癌病変として認識されているPanINや浸潤性膵管癌においてほとんど発現していない. 一般に大腸癌などの癌細胞に発現したCDX2はその増殖進行を抑制する可能性が示唆されているが, 膵癌における役割については全く不明である. そこでCDX2の発現と膵癌との関連を調べるため, ヒト膵癌細胞を用いCDX2による細胞増殖能と細胞周期に関連...

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Published in膵臓 Vol. 24; no. 4; pp. 556 - 558
Main Authors 高橋, 賢治, 平野, 史倫, 松本, 学也, 麻生, 和信, 羽田, 勝計
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本膵臓学会 2009
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Summary:「背景と目的」胎生期の消化管形成に関わる重要な転写因子であるCaudal related homeobox gene type2(CDX2)は, 後腸の分化に関与し, 成人では主に小腸, 大腸の上皮に発現を認める. 膵臓において主に正常膵島細胞に発現するCDX2は, 前癌病変として認識されているPanINや浸潤性膵管癌においてほとんど発現していない. 一般に大腸癌などの癌細胞に発現したCDX2はその増殖進行を抑制する可能性が示唆されているが, 膵癌における役割については全く不明である. そこでCDX2の発現と膵癌との関連を調べるため, ヒト膵癌細胞を用いCDX2による細胞増殖能と細胞周期に関連したサイクリンD1発現作用に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした. 「方法」通常型膵管癌細胞(Panc-1, BxPC-3, MIA-PaCa-2, CFPAC-1), 膵島腫瘍細胞(QGP-1), 膵腺扁平上皮癌細胞(KP-3)を用いた.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.24.556