高度関節水腫を呈した両膝樹枝状脂肪腫の1例

【はじめに】樹枝状脂肪腫は滑膜下組織が成熟細胞組織に置換され,滑膜が絨毛状に増殖することが特徴であるまれな良性関節内病変である.今回,両膝発症の樹枝状脂肪腫を経験したので報告する.【症例】患者は50歳男性.10年ほど前より誘引なく両膝の腫脹が出現し保存的に加療されていたが改善乏しく,膝痛・腫脹拡大に伴う屈曲制限認めるため当科紹介となった.当科初診時,両膝屈曲伸展動作で轢音著明であり,両膝ともに大腿部まで及ぶ水腫(右460 ml/左340 ml)を認めた.MRIでは膝蓋上嚢を主体とした滑膜の増生と水腫を認め滑膜炎の所見であった.治療,診断確定目的に両膝滑膜切除術を施行した.術後病理検査では,滑膜...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 70; no. 4; pp. 653 - 656
Main Authors 小畑, 彰, 平川, 雅士, 松田, 昌悟, 津村, 弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.09.2021
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Summary:【はじめに】樹枝状脂肪腫は滑膜下組織が成熟細胞組織に置換され,滑膜が絨毛状に増殖することが特徴であるまれな良性関節内病変である.今回,両膝発症の樹枝状脂肪腫を経験したので報告する.【症例】患者は50歳男性.10年ほど前より誘引なく両膝の腫脹が出現し保存的に加療されていたが改善乏しく,膝痛・腫脹拡大に伴う屈曲制限認めるため当科紹介となった.当科初診時,両膝屈曲伸展動作で轢音著明であり,両膝ともに大腿部まで及ぶ水腫(右460 ml/左340 ml)を認めた.MRIでは膝蓋上嚢を主体とした滑膜の増生と水腫を認め滑膜炎の所見であった.治療,診断確定目的に両膝滑膜切除術を施行した.術後病理検査では,滑膜は成熟した脂肪織から構成されており樹枝状脂肪腫の診断となった.術後腫脹は改善し現在まで再発なく経過している.【考察】樹枝状脂肪腫はまれな疾患であるが慢性関節水腫,関節症を呈する患者の鑑別診断に含める必要がある.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.70.653