小児月状骨骨折の1例

手根骨骨折のうち,月状骨骨折は0.5~6.5%程度9)と報告され,15歳以下の小児ではその頻度はさらに低いとされている.今回,小児の月状骨骨折の1例を経験したので報告する.症例は8歳,男児で自転車走行中に壁に衝突し受傷した.右月状骨骨折と両側橈骨遠位端骨端線損傷を認めた.転位した月状骨は徒手整復も経皮的整復も困難で,背側関節包を切開し,C-wireを挿入し観血的に整復固定した.骨端線損傷はK-wireにてintrafocal pinningを行った.術後経過は良好で,術後3か月で骨癒合を認め,抜釘術を施行した.受傷後4か月でのMRI画像では月状骨の壊死所見を認めなかった.現在,受傷後1年3か月...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 71; no. 4; pp. 642 - 646
Main Authors 荒木, 貴士, 明島, 直也, 本川, 哲比古, 田口, 勝規
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.09.2022
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Summary:手根骨骨折のうち,月状骨骨折は0.5~6.5%程度9)と報告され,15歳以下の小児ではその頻度はさらに低いとされている.今回,小児の月状骨骨折の1例を経験したので報告する.症例は8歳,男児で自転車走行中に壁に衝突し受傷した.右月状骨骨折と両側橈骨遠位端骨端線損傷を認めた.転位した月状骨は徒手整復も経皮的整復も困難で,背側関節包を切開し,C-wireを挿入し観血的に整復固定した.骨端線損傷はK-wireにてintrafocal pinningを行った.術後経過は良好で,術後3か月で骨癒合を認め,抜釘術を施行した.受傷後4か月でのMRI画像では月状骨の壊死所見を認めなかった.現在,受傷後1年3か月で,疼痛や機能障害もなく経過している.単純X線像では,月状骨の硬化像や扁平化はないが,変形治癒を認めている.今後も月状骨壊死や変形性関節症などを生じる可能性があり,長期間の経過観察が必要である.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.71.642