エタノールアミンリン脂質をターゲットとするペプチド毒素,シンナマイシン,デュラマイシンのストラテジー

「シンナマイシンとデュラマイシン: エタノールアミンリン脂質特異的毒素」 コレラ毒素, ストレプトリシンなど脂質を受容体とする毒素が知られている. シンナマイシン(cinnamycin, Ro09-0198)とデュラマイシン(duramycin)は放線菌が分泌する環状ペプチドである1),2). 2つのペプチドはアミノ酸1残基だけが異なり, シンナマイシンの2位のアルギニンがデュラマイシンではリジンに置き換わっている(図1). シンナマイシン, デュラマイシンはランチビオティックといわれる一群の化合物に属する3). ランチビオティックはランチオニンなどの特殊アミノ酸を含み, 抗菌活性を有すること...

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Published in生物物理 Vol. 49; no. 3; pp. 122 - 125
Main Authors 牧野, 麻美, 岩本, 邦彦, 小林, 俊秀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本生物物理学会 2009
日本生物物理学会
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ISSN0582-4052
1347-4219
DOI10.2142/biophys.49.122

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Summary:「シンナマイシンとデュラマイシン: エタノールアミンリン脂質特異的毒素」 コレラ毒素, ストレプトリシンなど脂質を受容体とする毒素が知られている. シンナマイシン(cinnamycin, Ro09-0198)とデュラマイシン(duramycin)は放線菌が分泌する環状ペプチドである1),2). 2つのペプチドはアミノ酸1残基だけが異なり, シンナマイシンの2位のアルギニンがデュラマイシンではリジンに置き換わっている(図1). シンナマイシン, デュラマイシンはランチビオティックといわれる一群の化合物に属する3). ランチビオティックはランチオニンなどの特殊アミノ酸を含み, 抗菌活性を有することが知られているが, シンナマイシン, デュラマイシンは動物細胞に対しても毒性を発揮する. シンナマイシンはホスファチジルエタノールアミン(PE)に特異的に結合し, PE依存的に膜を壊すことが, 人工膜4)や赤血球5)を用いて報告されている.
ISSN:0582-4052
1347-4219
DOI:10.2142/biophys.49.122