小胞体ストレスとメタロチオネイン

「はじめに」高齢化社会の進展は, 加齢を遺伝的背景とした肥満, 糖尿病などの疾病が増加しその発症や進展の段階でストレス関与が指摘されている. 一般的にストレスは精神的ストレスを指すが, 近年, 個体へのストレスは組織, 細胞, さらに細胞内小器官へのストレス負荷となり, その影響の解析がなされている. 本稿では, 細胞内小器官である小胞体におけるストレス負荷への生体応答及びその反応におけるメタロチオネイン(MT)関与の可能性と役割を考察する. 小胞体ストレスとメタロチオネインに関しては, 研究は開始されたばかりである. そこで本稿ではMTが小胞体ストレスになんらかの関係があり, その重要性を示...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 127; no. 4; pp. 703 - 708
Main Authors 佐藤, 政男, 鈴木, 真也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.04.2007
日本薬学会
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Summary:「はじめに」高齢化社会の進展は, 加齢を遺伝的背景とした肥満, 糖尿病などの疾病が増加しその発症や進展の段階でストレス関与が指摘されている. 一般的にストレスは精神的ストレスを指すが, 近年, 個体へのストレスは組織, 細胞, さらに細胞内小器官へのストレス負荷となり, その影響の解析がなされている. 本稿では, 細胞内小器官である小胞体におけるストレス負荷への生体応答及びその反応におけるメタロチオネイン(MT)関与の可能性と役割を考察する. 小胞体ストレスとメタロチオネインに関しては, 研究は開始されたばかりである. そこで本稿ではMTが小胞体ストレスになんらかの関係があり, その重要性を示唆する点について述べる. 「全身, 細胞及び細胞下画分におけるストレス」ストレスはSelyeの定義と解釈によれば生体への侵襲に対する生体に生じる非特異的反応であり, ストレスを付与するものをストレッサーと呼んだ. その特徴として, 1)個々の侵襲に対する特異的な反応に加えて, 侵襲の種類によらない非特異的反応の総体, 2)反応パターンは種をこえて保存され, 3)一定範囲で侵襲の強さに比例した反応, 4)繰り返し侵襲に対する抵抗性が生じる, 5)異なるストレッサーに対しても抵抗力が生じることなどが挙げられている. 1)ストレス度の大きな生活上のできごととして配偶者の死が挙げられる.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.127.703