無症候性の初発ネフローゼ症候群患児における臨床像の特徴

当科で初回治療が行われ,1 年以上観察しえたネフローゼ症候群 (NS) 患児93 例 (初発年齢中央値5.2 歳,観察期間6.3 年) において,学校検尿などから無症状で診断された8 例 (9%:無症候群) と全身浮腫で診断された85例 (91%:浮腫群) の2 群に分けて,臨床経過を比較検討した。初回ステロイド感受性だったのは無症候群7 例 (88%) ,浮腫群68 例 (80%) で,寛解までの日数は無症候群が浮腫群より有意に短かった (6.0 vs 10.0 日,p<0.01) 。また無症候群は浮腫群と比較して,診断から1 年間の再発回数は有意に少なく (0.25 vs 1.29...

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Published in日本小児腎臓病学会雑誌 Vol. 31; no. 2; pp. 151 - 154
Main Authors 櫻谷, 浩志, 権田, 裕亮, 西野, 智彦, 藤永, 周一郎, 富井, 祐治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本小児腎臓病学会 2018
日本小児腎臓病学会
Subjects
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ISSN0915-2245
1881-3933
DOI10.3165/jjpn.oa.2018.0139

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Summary:当科で初回治療が行われ,1 年以上観察しえたネフローゼ症候群 (NS) 患児93 例 (初発年齢中央値5.2 歳,観察期間6.3 年) において,学校検尿などから無症状で診断された8 例 (9%:無症候群) と全身浮腫で診断された85例 (91%:浮腫群) の2 群に分けて,臨床経過を比較検討した。初回ステロイド感受性だったのは無症候群7 例 (88%) ,浮腫群68 例 (80%) で,寛解までの日数は無症候群が浮腫群より有意に短かった (6.0 vs 10.0 日,p<0.01) 。また無症候群は浮腫群と比較して,診断から1 年間の再発回数は有意に少なく (0.25 vs 1.29 回/人・年,p<0.01) ,頻回再発/ステロイド依存性ネフローゼ症候群 (FR/SDNS) の移行例はなかった。初回ステロイド抵抗性のうち浮腫群の17 例は免疫抑制療法にて全例で完全寛解したが,無症候群1 例は WT-1 遺伝子変異が同定され高度蛋白尿が持続している。無症候性NS は一般的に予後良好であるが,ステロイド抵抗性を示した場合は,遺伝子検査を検討した方がよいと思われた。
ISSN:0915-2245
1881-3933
DOI:10.3165/jjpn.oa.2018.0139