膝関節内に2つの結節を形成した色素性絨毛結節性滑膜炎の一例

色素性絨毛結節性滑膜炎(pigmented villonodular synovitis;以下PVNS)は比較的稀な疾患である.膝関節に2つの結節を形成したPVNSの1例を経験したので報告する.症例は21歳男性.半年前から誘因なく右膝痛が出現したため,他院を受診した.関節内血腫が認められたが,保存的に経過観察していた.その2ヵ月後に再び関節内血種を認め,精査加療目的に当院を紹介された.疼痛と可動域制限(ROM-10°/135°)を認め,MRIでは大腿骨外側顆後方にφ27×10×30 mm大と後十字靭帯大腿骨付着部後方にφ10×10×10 mm大のプロトン強調画像,T2強調画像で低信号と高信号の...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 64; no. 4; pp. 636 - 639
Main Authors 新城, 宏隆, 金城, 仁, 新垣, 和伸, 金谷, 文則
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2015
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.64.636

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Summary:色素性絨毛結節性滑膜炎(pigmented villonodular synovitis;以下PVNS)は比較的稀な疾患である.膝関節に2つの結節を形成したPVNSの1例を経験したので報告する.症例は21歳男性.半年前から誘因なく右膝痛が出現したため,他院を受診した.関節内血腫が認められたが,保存的に経過観察していた.その2ヵ月後に再び関節内血種を認め,精査加療目的に当院を紹介された.疼痛と可動域制限(ROM-10°/135°)を認め,MRIでは大腿骨外側顆後方にφ27×10×30 mm大と後十字靭帯大腿骨付着部後方にφ10×10×10 mm大のプロトン強調画像,T2強調画像で低信号と高信号の混在する腫瘍を認め,双方ともガドリニウムにて辺縁が造影され,関節鏡視下の術中迅速病理では悪性所見はなく全切除した.永久病理診断にて両者ともPVNSと診断された.術後6カ月で疼痛,可動域制限なく,MRIでも再発を認めていない.膝関節内に2つの結節を生じたPVNSは,我々が渉猟しえた中では例がなく,稀な症例と考えられた.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.64.636