80歳以上の大腿骨近位部骨折に対する循環器疾患の周術期リスクについての調査

大腿骨近位部骨折では,寝たきりのような低いADLの患者を除いては手術を勧めるべきある.ただし高齢者はADLに関わらず全身的に重要臓器の機能低下があり,厳重な周術期管理が必要である.当院では心臓病センターがあるため心疾患を有する骨折患者の紹介が多く,80歳以上では術前評価として心エコー検査を全例実施している.その結果をもとに高齢者の周術期心疾患リスクについて検討した.対象は2013年1月~2014年12月の間に手術治療を行った80歳以上の大腿骨近位部骨折の患者438例.平均年齢は88歳(80~104歳),性別は男性58例,女性383例.調査の結果,周術期管理に注意すべきである高度大動脈弁狭窄症や...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 65; no. 3; pp. 526 - 528
Main Authors 梅﨑, 哲矢, 森, 治樹, 三橋, 龍馬, 山口, 洋一朗, 今里, 浩之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2016
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Summary:大腿骨近位部骨折では,寝たきりのような低いADLの患者を除いては手術を勧めるべきある.ただし高齢者はADLに関わらず全身的に重要臓器の機能低下があり,厳重な周術期管理が必要である.当院では心臓病センターがあるため心疾患を有する骨折患者の紹介が多く,80歳以上では術前評価として心エコー検査を全例実施している.その結果をもとに高齢者の周術期心疾患リスクについて検討した.対象は2013年1月~2014年12月の間に手術治療を行った80歳以上の大腿骨近位部骨折の患者438例.平均年齢は88歳(80~104歳),性別は男性58例,女性383例.調査の結果,周術期管理に注意すべきである高度大動脈弁狭窄症や低心機能症例が数%の頻度で見られた.多くは無症候性であり,全例に心エコー検査を行うのも現実的ではない.このため高齢者に潜むリスクを理解し,十分な説明を行ったうえで手術と周術期管理を行うべきである.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.65.526