胸椎に発生し脊髄症状を呈した骨軟骨腫の1例

骨軟骨腫は原発性骨腫瘍の中では発生頻度が高い良性腫瘍で,四肢長幹骨の骨幹端部に好発するが,脊椎に発生することはまれである.今回胸椎に発生し脊髄症状を呈した骨軟骨腫の1例を経験したので報告する.症例は16歳男性である.野球の練習中に左膝崩れを生じ,当院の救急外来を受診された.初診時は膝半月損傷を疑い,精査を行ったが,膝関節に異常を認めなかった.その後両下肢に脱力感を生じ歩行困難となった.脊髄疾患を疑い精査を行ったところ,第8胸椎上関節突起に骨腫瘍を認めた.腫瘍は脊柱管内に突出し,脊髄を高度に圧迫していた.歩行障害が進行し,腫瘍切除を施行した.術後は両下肢の痙性は残存しているが,歩行障害は徐々に改...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 60; no. 1; pp. 24 - 27
Main Authors 矢倉, 知加子, 近藤, 康光, 谷島, 伸二, 谷田, 玲, 林原, 雅子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2011
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.60.24

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Summary:骨軟骨腫は原発性骨腫瘍の中では発生頻度が高い良性腫瘍で,四肢長幹骨の骨幹端部に好発するが,脊椎に発生することはまれである.今回胸椎に発生し脊髄症状を呈した骨軟骨腫の1例を経験したので報告する.症例は16歳男性である.野球の練習中に左膝崩れを生じ,当院の救急外来を受診された.初診時は膝半月損傷を疑い,精査を行ったが,膝関節に異常を認めなかった.その後両下肢に脱力感を生じ歩行困難となった.脊髄疾患を疑い精査を行ったところ,第8胸椎上関節突起に骨腫瘍を認めた.腫瘍は脊柱管内に突出し,脊髄を高度に圧迫していた.歩行障害が進行し,腫瘍切除を施行した.術後は両下肢の痙性は残存しているが,歩行障害は徐々に改善している.病理診断は骨軟骨腫であった.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.60.24