鼠径部に発生した異所性子宮内膜症の1例

【はじめに】骨盤外子宮内膜症の中で頻度の少ない鼠径部内膜症の1例を経験したので報告する.【症例】症例は45歳女性.左鼠径部に安静時痛を伴う腫瘤を認め近医を受診した.MRIで軟部腫瘍が疑われ当科紹介となり,診断確定のため切開生検を施行した.病理組織検査では血腫の診断であったが,画像上,子宮円索と連続する所見があり,異所性子宮内膜症を疑い,切除を行った.術中,肉眼的に腫瘤の境界は不明瞭であり,子宮円索と連続していることを確認し切除した.切除組織の病理組織検査は異所性子宮内膜症の診断であった.術後,疼痛は消失し,現在まで再発はない.【考察】月経随伴症状を認めない場合,異所性子宮内膜症の診断は困難であ...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 65; no. 4; pp. 665 - 668
Main Authors 阿部, 徹太郎, 岩崎, 達也, 糸永, 一朗, 田仲, 和宏, 河野, 正典, 津村, 弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2016
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.65.665

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Summary:【はじめに】骨盤外子宮内膜症の中で頻度の少ない鼠径部内膜症の1例を経験したので報告する.【症例】症例は45歳女性.左鼠径部に安静時痛を伴う腫瘤を認め近医を受診した.MRIで軟部腫瘍が疑われ当科紹介となり,診断確定のため切開生検を施行した.病理組織検査では血腫の診断であったが,画像上,子宮円索と連続する所見があり,異所性子宮内膜症を疑い,切除を行った.術中,肉眼的に腫瘤の境界は不明瞭であり,子宮円索と連続していることを確認し切除した.切除組織の病理組織検査は異所性子宮内膜症の診断であった.術後,疼痛は消失し,現在まで再発はない.【考察】月経随伴症状を認めない場合,異所性子宮内膜症の診断は困難である.症状を自覚していても,整形外科受診時に医療者側へ伝えない可能性もある.生殖年齢女性の鼠径部に有痛性の腫瘤があり,特に鼠径管付近に発生している場合は,異所性子宮内膜症を考慮し,問診内容に注意が必要と考える.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.65.665