下腿三頭筋内に発生した良性線維性組織球腫の1例

(はじめに)稀な疾患である下腿三頭筋層内に発生した良性線維性組織球腫(Deep benign fibrous histiocytoma)の1例を経験したので報告する.(症例)症例は37歳,男性である.2年程前に左下腿の腫瘤に気づいた.サイズの増大はみられなかったが,下腿のつっぱり感が出現したため近医を受診しMRIにて軟部腫瘍を指摘され当科紹介受診した.左下腿内側に41×32mm大,弾性硬の腫瘤を触知した.針生検を行いlow grade sarcomaが疑われたため広範切除を行った.切除標本の病理診断は良性線維性組織球腫であった.術後2年の現在,再発・転移ともにみとめていない.(考察)良性線維性...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 64; no. 3; pp. 582 - 584
Main Authors 杉原, 祐介, 林, 徳眞吉, 宮田, 倫明, 富田, 雅人, 西, 紘太朗, 尾﨑, 誠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2015
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.64.582

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Summary:(はじめに)稀な疾患である下腿三頭筋層内に発生した良性線維性組織球腫(Deep benign fibrous histiocytoma)の1例を経験したので報告する.(症例)症例は37歳,男性である.2年程前に左下腿の腫瘤に気づいた.サイズの増大はみられなかったが,下腿のつっぱり感が出現したため近医を受診しMRIにて軟部腫瘍を指摘され当科紹介受診した.左下腿内側に41×32mm大,弾性硬の腫瘤を触知した.針生検を行いlow grade sarcomaが疑われたため広範切除を行った.切除標本の病理診断は良性線維性組織球腫であった.術後2年の現在,再発・転移ともにみとめていない.(考察)良性線維性組織球腫は皮下に発生することが多いが,筋層内発生も報告されている比較的稀な腫瘍である.不完全な切除が行われた症例の約20%が再発を生じ,ごく稀に転移を生じるとされている.本症例は,広範切除を行い2年の経過観察であるが経過良好である.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.64.582