大腿骨転子部不顕性骨折を合併した大腿骨大転子骨折の加療についての検討

【はじめに】大転子単独骨折のように見える症例でも,不顕性の転子部骨折を合併することがあり,その場合は慎重な経過観察の必要がある.今回,当科で経験した大腿骨大転子骨折の患者に不顕性転子部骨折の有無を検索して加療した症例を検討したので報告する.【対象と方法】2007年4月~2014年12月に当科で大腿骨大転子骨折と診断された19肢が対象.【結果】平均年齢82.7歳で男性2例3肢,女性16例16肢,各症例についてXp,CT,MRIを用いて画像検索を行った.手術症例は1肢,保存症例は18肢であった.MRIを撮影した症例は5肢あったが,全例小転子まで及ぶ骨折線を認めた.起立訓練までは平均2.5日,歩行訓...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 65; no. 1; pp. 122 - 124
Main Authors 山口, 洋一朗, 森, 治樹, 三橋, 龍馬, 梅﨑, 哲矢
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2016
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Summary:【はじめに】大転子単独骨折のように見える症例でも,不顕性の転子部骨折を合併することがあり,その場合は慎重な経過観察の必要がある.今回,当科で経験した大腿骨大転子骨折の患者に不顕性転子部骨折の有無を検索して加療した症例を検討したので報告する.【対象と方法】2007年4月~2014年12月に当科で大腿骨大転子骨折と診断された19肢が対象.【結果】平均年齢82.7歳で男性2例3肢,女性16例16肢,各症例についてXp,CT,MRIを用いて画像検索を行った.手術症例は1肢,保存症例は18肢であった.MRIを撮影した症例は5肢あったが,全例小転子まで及ぶ骨折線を認めた.起立訓練までは平均2.5日,歩行訓練までは平均3.8日であった.【まとめ】大転子骨折には高率に転子部不顕性骨折を合併した.転子部不顕性骨折を認める症例でも保存的加療での早期荷重・早期離床も選択肢となり得た.だが,本人・家族の理解と同意や慎重な経過観察が必要と考えられた.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.65.122