胸椎硬膜外に発生した血管脂肪腫の1例

胸椎硬膜外に発生したまれな血管脂肪腫を経験したので報告する.【症例】32歳女性.主訴は両下肢のしびれ感,筋力低下,歩行困難,膀胱直腸障害.3ヶ月前から下肢筋力の低下を自覚し,1ヶ月前から歩行不能となった.近医でのMRIで硬膜背側に腫瘍性病変を認めたため当科紹介となった.MRIでは第6~10胸椎高位に,T1強調画像,T2強調画像ともに不均一な高信号を示す腫瘍性病変を認め,それによる硬膜背側の著明な圧迫を確認した.造影CT検査では早期に腫瘍の濃染を認めた.椎弓切除後に腫瘍を全摘出した.腫瘍と硬膜の癒着はほとんどなく一塊として全摘出が可能であった.術後より下肢筋力の改善を認め,歩行も可能となり,膀胱...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 66; no. 4; pp. 761 - 763
Main Authors 関本, 朝久, 黒木, 修司, 永井, 琢哉, 川越, 秀一, 李, 徳哲, 濱中, 秀昭, 川野, 啓介, 比嘉, 聖, 帖佐, 悦男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2017
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.66.761

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Summary:胸椎硬膜外に発生したまれな血管脂肪腫を経験したので報告する.【症例】32歳女性.主訴は両下肢のしびれ感,筋力低下,歩行困難,膀胱直腸障害.3ヶ月前から下肢筋力の低下を自覚し,1ヶ月前から歩行不能となった.近医でのMRIで硬膜背側に腫瘍性病変を認めたため当科紹介となった.MRIでは第6~10胸椎高位に,T1強調画像,T2強調画像ともに不均一な高信号を示す腫瘍性病変を認め,それによる硬膜背側の著明な圧迫を確認した.造影CT検査では早期に腫瘍の濃染を認めた.椎弓切除後に腫瘍を全摘出した.腫瘍と硬膜の癒着はほとんどなく一塊として全摘出が可能であった.術後より下肢筋力の改善を認め,歩行も可能となり,膀胱直腸障害も改善した.【考察】脊髄硬膜外血管脂肪腫はまれであるが,特徴的な臨床症状,画像所見を有する.今回の症例は硬膜背側に発生し,全摘出が可能であり,予後も良好であった.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.66.761