化膿性肩関節炎の治療経験

【目的】化膿性肩関節炎は比較的稀であるが,一旦発症すると急速に関節機能が障害される重篤な疾患である.本研究の目的は当院における化膿性肩関節炎の治療経過を調査し,その原因や治療法について検討することである.【対象】対象は,当院において2000年8月以降に化膿性肩関節炎として加療した21例22肩である.男性16肩,女性6肩,平均年齢は67.6歳で,平均経過観察期間は22.4ヶ月であった.【結果】術後感染は10肩で,うち6肩は広背筋移行術を並施していた.術後感染例は全例直視下手術にて感染の鎮静化を得た.4肩において起炎菌を同定できなかった.直視下手術と鏡視下手術との間で最終観察時の自動挙上可動域に差...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 64; no. 3; pp. 506 - 509
Main Authors 村松, 慶一, 重冨, 充則, 田口, 敏彦, 橋本, 貴弘, 山縣, 大樹, 富永, 康弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2015
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.64.506

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Summary:【目的】化膿性肩関節炎は比較的稀であるが,一旦発症すると急速に関節機能が障害される重篤な疾患である.本研究の目的は当院における化膿性肩関節炎の治療経過を調査し,その原因や治療法について検討することである.【対象】対象は,当院において2000年8月以降に化膿性肩関節炎として加療した21例22肩である.男性16肩,女性6肩,平均年齢は67.6歳で,平均経過観察期間は22.4ヶ月であった.【結果】術後感染は10肩で,うち6肩は広背筋移行術を並施していた.術後感染例は全例直視下手術にて感染の鎮静化を得た.4肩において起炎菌を同定できなかった.直視下手術と鏡視下手術との間で最終観察時の自動挙上可動域に差はなかった.【考察】腱板修復術における広背筋腱移行術は術後感染のリスクとなる可能性が否定できず,注意を要する手技であると考えられた.病変の拡大範囲に応じて直視下・鏡視下手術を選択するべきである.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.64.506