椎体に浸潤した悪性リンパ腫3例の治療経験
悪性リンパ腫による椎体浸潤は感染性脊椎炎,脊椎腫瘍,椎体骨折との鑑別が困難であり診断に苦慮する.3例の手術療法を経験したので報告する.症例1は81歳女性,腰痛と発熱あり,生検で確定診断が得られず,後方固定を行うも圧壊は進行し,前方固定を追加.病理にて悪性リンパ腫の診断.化学療法後は腰痛消失した.症例2は80歳女性,腰痛と下肢麻痺あり,生検と後方固定を行い悪性リンパ腫の診断.化学療法後に腫瘍は縮小し麻痺は改善した.症例3は69歳男性,悪性リンパ腫は寛解していたが,起立時に椎体骨折を呈し下肢麻痺となる.後方除圧固定を行い,腰痛は改善し杖歩行可能となった.悪性リンパ腫は化学療法による腫瘍縮小が期待で...
Saved in:
Published in | 整形外科と災害外科 Vol. 70; no. 2; pp. 190 - 194 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
西日本整形・災害外科学会
25.03.2021
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0037-1033 1349-4333 |
DOI | 10.5035/nishiseisai.70.190 |
Cover
Summary: | 悪性リンパ腫による椎体浸潤は感染性脊椎炎,脊椎腫瘍,椎体骨折との鑑別が困難であり診断に苦慮する.3例の手術療法を経験したので報告する.症例1は81歳女性,腰痛と発熱あり,生検で確定診断が得られず,後方固定を行うも圧壊は進行し,前方固定を追加.病理にて悪性リンパ腫の診断.化学療法後は腰痛消失した.症例2は80歳女性,腰痛と下肢麻痺あり,生検と後方固定を行い悪性リンパ腫の診断.化学療法後に腫瘍は縮小し麻痺は改善した.症例3は69歳男性,悪性リンパ腫は寛解していたが,起立時に椎体骨折を呈し下肢麻痺となる.後方除圧固定を行い,腰痛は改善し杖歩行可能となった.悪性リンパ腫は化学療法による腫瘍縮小が期待できる.従って手術の関与は腫瘍摘出より脊椎再建に主眼が置かれる.疼痛に対しては固定術が有効であった.麻痺に関して早期外科的除圧を行うか化学療法による縮小を期待するかは麻痺の程度によるものと考える. |
---|---|
ISSN: | 0037-1033 1349-4333 |
DOI: | 10.5035/nishiseisai.70.190 |