腰部椎間板ヘルニア様の症状を呈した化膿性脊椎炎の1例

【目的】近年化膿性脊椎炎は増加傾向にあるが診断に苦慮する事がある.化膿性脊椎炎の診断が遅延した1例を報告する.【症例】77才男性.主訴は6週前からの左坐骨神経痛.XP,MRIにて終板に異常なく,L5/Sの脱出ヘルニアとL5/S椎体の骨髄浮腫を認めた.腰椎modic変性と判断し外来加療開始したが3ヶ月でdrop out.初診後6ヶ月に農作業後の腰痛にて再診.MRIでL5/S椎体の骨髄浮腫は消失していたがL5/Sの脱出ヘルニアは残存していた.1ヶ月の入院治療に改善なくMRIでL5/S椎体の骨髄浮腫の再発及び脊柱管内膿瘍を認めた.起炎菌α-Streptococcus同定後にCEZ開始.手術所見は椎間...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 62; no. 3; pp. 527 - 531
Main Authors 田中, 寿人, 笠原, 貴紀, 児玉, 香奈子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.09.2013
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Summary:【目的】近年化膿性脊椎炎は増加傾向にあるが診断に苦慮する事がある.化膿性脊椎炎の診断が遅延した1例を報告する.【症例】77才男性.主訴は6週前からの左坐骨神経痛.XP,MRIにて終板に異常なく,L5/Sの脱出ヘルニアとL5/S椎体の骨髄浮腫を認めた.腰椎modic変性と判断し外来加療開始したが3ヶ月でdrop out.初診後6ヶ月に農作業後の腰痛にて再診.MRIでL5/S椎体の骨髄浮腫は消失していたがL5/Sの脱出ヘルニアは残存していた.1ヶ月の入院治療に改善なくMRIでL5/S椎体の骨髄浮腫の再発及び脊柱管内膿瘍を認めた.起炎菌α-Streptococcus同定後にCEZ開始.手術所見は椎間板腔から脊柱管内に脱出する炎症性繊維性肉芽組織が神経根周囲に増生していた.活動性炎症はなかった.【考察】化膿性脊椎炎は早期診断,起炎菌の同定及び早期治療開始が極めて重要であるが,診断に苦慮し診断遅延につながる事もある.早期診断には本症の認識を深めることが大切であった.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.62.527