当科で経験したシャルコー股関節の1例

「はじめに」股関節のCharcot関節は報告例が少なく, いまだ治療法が確立されていない. 我々は股関節のCharcot関節に対し人工骨頭置換術を施行したので報告する. 症例:51歳, 男性 主訴:歩行障害 現病歴:初診の約6ヵ月前より歩行時に転倒を繰り返すようになった. 約2ヵ月前から左股関節に轢音を自覚し, 跛行を指摘されるようになったが疼痛がないため放置していた. 次第に歩行が困難となったため当科を初診した. 初診時現症:左下肢は支持性を失っており, 歩行が非常に困難であるが疼痛の訴えはなかった. 左股関節周囲に腫張を認めたが同部の発赤, 熱感, 圧痛は認めなかった. 左股関節の関節可動...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 52; no. 1; pp. 23 - 28
Main Authors 岸, 隆広, 山本, 真人, 米井, 徹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2003
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.52.23

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Summary:「はじめに」股関節のCharcot関節は報告例が少なく, いまだ治療法が確立されていない. 我々は股関節のCharcot関節に対し人工骨頭置換術を施行したので報告する. 症例:51歳, 男性 主訴:歩行障害 現病歴:初診の約6ヵ月前より歩行時に転倒を繰り返すようになった. 約2ヵ月前から左股関節に轢音を自覚し, 跛行を指摘されるようになったが疼痛がないため放置していた. 次第に歩行が困難となったため当科を初診した. 初診時現症:左下肢は支持性を失っており, 歩行が非常に困難であるが疼痛の訴えはなかった. 左股関節周囲に腫張を認めたが同部の発赤, 熱感, 圧痛は認めなかった. 左股関節の関節可動域は正常であり, 疼痛はなかったが, 可動時に轢音を聴取した. 両下肢の粗大筋力は保たれていたが, 左下肢の触覚 振動覚は軽度に障害されていた. Romberg徴候, Argyll Robertson瞳孔, Westphal徴候, Abadie徴候はいずれも陽性であった. 単純X線:左大腿骨は頚部で骨折し上方へ転位していた. 股関節周囲には小骨片を多数認め, 臼蓋にも骨折像と骨膜反応が認められた(図1). CT:股関節周囲にやや低輝度から等輝度の混在する腫瘤形成を認め, 腫瘤内部には小骨片が散在していた.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.52.23