クラシックバレエで生じた両弾発母趾の治療経験

今回われわれは稀な弾発母趾を経験したので報告する.症例は15歳,女児.6歳からクラシックバレエを開始し,10歳頃より練習中に両母趾の弾発現象を自覚していたが,疼痛がないため放置していた.15歳時に練習量が増加してから両母趾の弾発現象に加えて両足関節内果後方の疼痛が出現するようになったため当院へ紹介された.初診時に右母趾は足関節底屈および背屈時とも弾発現象を認めた.左母趾は足関節底屈時のみ弾発現象を認めた.両弾発母趾と診断し,懸濁性ステロイドを腱鞘内へ注射した.左母趾は疼痛,弾発現象とも改善したが,右母趾は弾発現象が残存した.そのため右母趾に対して腱鞘切開術を施行した.足関節内果後方部に弧状切開...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 61; no. 2; pp. 274 - 276
Main Authors 富原, 匠, 宮里, 剛行, 野口, 隆史, 仲村, 俊介, 友寄, 英二, 平良, 貴志, 城田, 真一, 林, 宗幸, 盛島, 秀泉, 嘉手川, 啓, 上里, 智美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2012
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Summary:今回われわれは稀な弾発母趾を経験したので報告する.症例は15歳,女児.6歳からクラシックバレエを開始し,10歳頃より練習中に両母趾の弾発現象を自覚していたが,疼痛がないため放置していた.15歳時に練習量が増加してから両母趾の弾発現象に加えて両足関節内果後方の疼痛が出現するようになったため当院へ紹介された.初診時に右母趾は足関節底屈および背屈時とも弾発現象を認めた.左母趾は足関節底屈時のみ弾発現象を認めた.両弾発母趾と診断し,懸濁性ステロイドを腱鞘内へ注射した.左母趾は疼痛,弾発現象とも改善したが,右母趾は弾発現象が残存した.そのため右母趾に対して腱鞘切開術を施行した.足関節内果後方部に弧状切開を加えて,腱鞘を切開すると長母趾屈筋腱の肥厚を認めた.術後は弾発現象,疼痛とも改善し,術後4ヶ月でバレエの練習を再開した.左母趾は症状の再発は認めていない.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.61.274