小児腸腰筋膿瘍の治療経験
我々は小児腸腰筋膿瘍を治療する機会を得たので若干の文献的考察を含めて報告する.症例は15歳男児,繰り返す熱発と右腰背部,臀部痛を主訴に来院.体温36.9℃,神経学的所見,単純レントゲンでは明らかな異常はなかった.採血にてWBC 20660/mm3 CRP 13.1mg/dlと高値を認め,MRI施行したところ両側の腸腰筋に膿瘍形成を認めた.エコー下に穿刺後培養提出してMSSAが同定された.入院後,抗菌薬投与及び高気圧酸素治療開始した.入院から15日目にWBC正常化,22日目にCRP陰転化した.発症から1年の現在も再発は認めていない.これまで小児における本疾患の治療法としては,全身麻酔下の外科的ド...
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Published in | 整形外科と災害外科 Vol. 65; no. 3; pp. 611 - 615 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
西日本整形・災害外科学会
2016
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0037-1033 1349-4333 |
DOI | 10.5035/nishiseisai.65.611 |
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Summary: | 我々は小児腸腰筋膿瘍を治療する機会を得たので若干の文献的考察を含めて報告する.症例は15歳男児,繰り返す熱発と右腰背部,臀部痛を主訴に来院.体温36.9℃,神経学的所見,単純レントゲンでは明らかな異常はなかった.採血にてWBC 20660/mm3 CRP 13.1mg/dlと高値を認め,MRI施行したところ両側の腸腰筋に膿瘍形成を認めた.エコー下に穿刺後培養提出してMSSAが同定された.入院後,抗菌薬投与及び高気圧酸素治療開始した.入院から15日目にWBC正常化,22日目にCRP陰転化した.発症から1年の現在も再発は認めていない.これまで小児における本疾患の治療法としては,全身麻酔下の外科的ドレナージの報告が多かったが,全身症状を呈する前の早期発見と適切な抗菌薬を投与することによって全例で外科的処置が必要ではないとの報告もある.実際我々も外科的処置を必要とすることなく良好な経過であった.しかし再発例の報告もあり今後も注意深く観察を行っていく予定である. |
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ISSN: | 0037-1033 1349-4333 |
DOI: | 10.5035/nishiseisai.65.611 |