両側大腿骨骨幹部骨折に対して髄内釘固定術を施行した濃化異骨症の1例

【はじめに】濃化異骨症は非常に稀な骨系統疾患であり,全身の骨硬化や易骨折性を特徴とし,骨折の治療は難渋することが多い.【症例】61歳女性,急に足の力が抜けたようになり転倒し受傷.初診時XPでは,左大腿骨骨幹部の非定型骨折,右大腿骨骨幹部不全骨折を認めた.両側とも骨幹部の弯曲や皮質骨の肥厚や髄腔の狭小化があり,他にも手指末節骨溶骨性変化,頭蓋縫合の離開などを認め,濃化異骨症と診断した.左大腿骨非定型骨幹部骨折に対し髄内釘固定術を行い,右大腿骨骨幹部不全骨折に対し予防的に髄内釘固定術を行った.左側では術後3.5カ月で良好な骨癒合が得られ,右側は術後7.5カ月で骨癒合が得られた.【考察】濃化異骨症患...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 65; no. 3; pp. 607 - 610
Main Authors 中原, 潤之輔, 山内, 達朗, 稲葉, 大輔, 福間, 裕子, 安岡, 寛理, 越智, 龍弥, 中野, 哲雄, 田畑, 聖吾
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2016
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.65.607

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Summary:【はじめに】濃化異骨症は非常に稀な骨系統疾患であり,全身の骨硬化や易骨折性を特徴とし,骨折の治療は難渋することが多い.【症例】61歳女性,急に足の力が抜けたようになり転倒し受傷.初診時XPでは,左大腿骨骨幹部の非定型骨折,右大腿骨骨幹部不全骨折を認めた.両側とも骨幹部の弯曲や皮質骨の肥厚や髄腔の狭小化があり,他にも手指末節骨溶骨性変化,頭蓋縫合の離開などを認め,濃化異骨症と診断した.左大腿骨非定型骨幹部骨折に対し髄内釘固定術を行い,右大腿骨骨幹部不全骨折に対し予防的に髄内釘固定術を行った.左側では術後3.5カ月で良好な骨癒合が得られ,右側は術後7.5カ月で骨癒合が得られた.【考察】濃化異骨症患者の髄内釘固定は髄腔が非常に狭く,海綿骨も皮質骨と同様の硬い骨質のために手術に難渋する.プレート固定では遷延癒合や偽関節の報告が多く,リーミングに難渋するが,髄内釘固定術は有用と考えられた.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.65.607