Boytchev変法術後の肩関節不安定性再発に対して鏡視下Bankart修復術を行った1例

肩関節前方不安定症に対する直視下手術後の再発率は2-8%といわれており,再手術では直視下手術が選択されてきた.近年,関節鏡視下での再手術が試みられるようになってきたがその報告は少ない.症例は58歳男性.35年前に外傷性肩関節前方不安定症に対してBoytchev変法による肩関節制動術が施行されていた.2014年2月,転倒しそうになり地面に手をついた後から脱臼不安感と水平内転時痛が出現した.精査の結果,肩関節前方不安症再発と診断し,鏡視下Bankart修復術を行った.術後,水平内転時痛および脱臼不安感は消失しJSS-SIS scoreは33点から80点に改善した.Boytchev変法は関節包切開や...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in整形外科と災害外科 Vol. 64; no. 3; pp. 526 - 529
Main Authors 櫻井, 真, 柴田, 陽三, 内藤, 正俊, 三宅, 智, 伊崎, 輝昌
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2015
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.64.526

Cover

More Information
Summary:肩関節前方不安定症に対する直視下手術後の再発率は2-8%といわれており,再手術では直視下手術が選択されてきた.近年,関節鏡視下での再手術が試みられるようになってきたがその報告は少ない.症例は58歳男性.35年前に外傷性肩関節前方不安定症に対してBoytchev変法による肩関節制動術が施行されていた.2014年2月,転倒しそうになり地面に手をついた後から脱臼不安感と水平内転時痛が出現した.精査の結果,肩関節前方不安症再発と診断し,鏡視下Bankart修復術を行った.術後,水平内転時痛および脱臼不安感は消失しJSS-SIS scoreは33点から80点に改善した.Boytchev変法は関節包切開や肩甲下筋腱切離などの侵襲も加えずに関節外処置のみで安定性を得る手技である.Boytchev変法術後の肩関節前方不安定性再発の手術として,未処置の関節内病変を修復する鏡視下手術は有用であると考えられた.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.64.526