大腿骨転子部骨折の術中整復手技について

【目的】大腿骨転子部骨折の治療において術中の整復が困難で難渋する場合がある.また術前の画像でもその困難さを予見できない.予め術中整復手技を用意しておく事でより安全な治療が担保できると考えた.【手技】手技1:通常の外側皮切より近位骨片に向かいエレバを挿入.皮切部付近をテコとして骨片を整復する.手技2:前方に皮切を加え,エレバを骨折部に挿入し牽引力を加えながら整復する.【結果】手技1の利点は新たな皮切を加える必要がない点である.欠点は牽引力が加えられないので整復できない場合がある事と手術操作部と同じ皮切のため手術操作に干渉する事,さらに前方から点で押さえるだけなので骨片把持力が弱い事である.手技2...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 65; no. 1; pp. 110 - 115
Main Authors 田中, 寿人, 笠原, 貴紀, 秋山, 菜奈絵
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2016
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Summary:【目的】大腿骨転子部骨折の治療において術中の整復が困難で難渋する場合がある.また術前の画像でもその困難さを予見できない.予め術中整復手技を用意しておく事でより安全な治療が担保できると考えた.【手技】手技1:通常の外側皮切より近位骨片に向かいエレバを挿入.皮切部付近をテコとして骨片を整復する.手技2:前方に皮切を加え,エレバを骨折部に挿入し牽引力を加えながら整復する.【結果】手技1の利点は新たな皮切を加える必要がない点である.欠点は牽引力が加えられないので整復できない場合がある事と手術操作部と同じ皮切のため手術操作に干渉する事,さらに前方から点で押さえるだけなので骨片把持力が弱い事である.手技2の利点は骨折部に牽引力や遠位骨を持ち上げる力を加えられるので整復が確実に行える点である.欠点は前方に皮切を追加する必要がある点だが,部位はScarpa三角よりもかなり外側で神経血管束を損傷する危険はなかった.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.65.110