短母指外転筋複合筋活動電位導出不能な重症手根管症候群における術後筋力回復因子の検討

手根管症候群の診断には,神経伝導検査が有用で,客観的な診断基準のひとつとされている.ただし,症状が進行し重度になると正中神経の支配筋である短母指外転筋,母指対立筋,短母指屈筋浅頭の筋力低下および母指球筋の萎縮がみられ,さらに軸索障害が高度になると手掌刺激法を用いた,短母指外転筋複合筋活動電位(abductor pollicis brevis-compound muscle action potential;APB-CMAP)が導出不能となる.しかし,そのような重症症例の患者においても一部では手根管開放術後に筋力が回復する症例がみられる.よって,APB-CMAPが導出不能かつ母指球筋の萎縮および...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 69; no. 3; pp. 498 - 501
Main Authors 村岡, 邦秀, 田中, 秀明, 篠崎, 智香子, 田中, 祥継, 山本, 卓明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.09.2020
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.69.498

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Summary:手根管症候群の診断には,神経伝導検査が有用で,客観的な診断基準のひとつとされている.ただし,症状が進行し重度になると正中神経の支配筋である短母指外転筋,母指対立筋,短母指屈筋浅頭の筋力低下および母指球筋の萎縮がみられ,さらに軸索障害が高度になると手掌刺激法を用いた,短母指外転筋複合筋活動電位(abductor pollicis brevis-compound muscle action potential;APB-CMAP)が導出不能となる.しかし,そのような重症症例の患者においても一部では手根管開放術後に筋力が回復する症例がみられる.よって,APB-CMAPが導出不能かつ母指球筋の萎縮および母指対立運動障害を有する重症手根管症候群に対して,手根管開放術を行い,術後に筋力の回復を見込めるのか,または,手根管開放術のみでは筋力の回復を見込めず,一期的に母指対立機能再建術を必要とするかを術前に予測可能となれば非常に有用となる.本研究の目的は,APB-CMAPが導出不能かつ母指球筋萎縮および母指対立運動障害を認める手根管症候群例を重症症例とし,手根管開放術後の術後筋力回復因子について検討することである.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.69.498