関節リウマチによる滑膜増生と鑑別を要した膝関節内悪性リンパ腫の一例

症例は67歳の男性.64歳時に左膝関節痛,両手関節痛で発症したRAであり,Golimumabによる加療が開始された.手関節痛は改善したものの左膝痛は持続し腫脹も増悪傾向でありTofacitinibに変更された.しかしその後も改善なく,滑膜切除の方針となった.術中所見では肥厚した滑膜を認め,病理組織検査の結果,悪性リンパ腫の診断に至った.RAに対してMTX投与中に発症する悪性リンパ腫はMTX関連リンパ増殖性疾患としてよく知られているが,MTX使用歴のないRA患者においても悪性リンパ腫が発症しうることを念頭におく必要がある.稀ではあるが,本症例のように関節内に発症した場合は,臨床的な初期診断が困難...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 69; no. 4; pp. 897 - 901
Main Authors 糸永, 一朗, 津村, 弘, 佐藤, 翔太, 松田, 昌悟, 岩崎, 達也, 田仲, 和宏, 河野, 正典
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.09.2020
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.69.897

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Summary:症例は67歳の男性.64歳時に左膝関節痛,両手関節痛で発症したRAであり,Golimumabによる加療が開始された.手関節痛は改善したものの左膝痛は持続し腫脹も増悪傾向でありTofacitinibに変更された.しかしその後も改善なく,滑膜切除の方針となった.術中所見では肥厚した滑膜を認め,病理組織検査の結果,悪性リンパ腫の診断に至った.RAに対してMTX投与中に発症する悪性リンパ腫はMTX関連リンパ増殖性疾患としてよく知られているが,MTX使用歴のないRA患者においても悪性リンパ腫が発症しうることを念頭におく必要がある.稀ではあるが,本症例のように関節内に発症した場合は,臨床的な初期診断が困難となることを認識した.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.69.897