脚長差を有する症例の足関節変形

長期間の力学的ストレス異常は関節の変形を引き起こす原因となる.今回我々は,大きな脚長差のため長期間尖足歩行してきた症例の足関節について調査を行った.対象は,股関節疾患に由来する,見かけ上5cm以上の脚長差を有したまま20年以上が経過している30例(男性3例,女性27例)である.平均年齢63歳(43~84歳).これらに対し,(1)X線上で変形性足関節症(足関節OA)がある症例の率,(2)日本足の外科学会足部・足関節治療成績判定基準のankle/hindfoot scaleによる採点(股関節痛が影響する項目を除外した77点満点)を調べた.患側に足関節OAが11例(37%)認められた.患側のankl...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 59; no. 1; pp. 191 - 194
Main Authors 本岡, 勉, 田中, 博史, 佛淵, 孝夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2010
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Summary:長期間の力学的ストレス異常は関節の変形を引き起こす原因となる.今回我々は,大きな脚長差のため長期間尖足歩行してきた症例の足関節について調査を行った.対象は,股関節疾患に由来する,見かけ上5cm以上の脚長差を有したまま20年以上が経過している30例(男性3例,女性27例)である.平均年齢63歳(43~84歳).これらに対し,(1)X線上で変形性足関節症(足関節OA)がある症例の率,(2)日本足の外科学会足部・足関節治療成績判定基準のankle/hindfoot scaleによる採点(股関節痛が影響する項目を除外した77点満点)を調べた.患側に足関節OAが11例(37%)認められた.患側のankle/hindfoot scaleは71.4±6.7点であった.足関節に対する愁訴は少なかったものの,明らかに平均を超える率の足関節OAが生じていた.OAは初期のものが多く,捻挫を繰り返すなどのアクシデントが加わった症例が進行したと考えられた.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.59.191