von Willebrand病患者に対して寛骨臼移動術を施行した1例
【はじめに】von Willebrand病(vWD)は稀な遺伝性の出血性疾患で,von Willebrand因子(vWF)の量的減少(1型),質的異常(2型),完全欠損(3型)により一次止血が障害され出血傾向を来す.vWDでは二次的に第VIII因子も低下する.今回我々は2B型vWD患者に対し寛骨臼移動術を行ったので報告する.【症例】30歳,女性.出生時に2B型vWD(血小板膜に対する結合能の異常亢進症)と診断された.15歳時に両側臼蓋形成不全と診断され,5年前より右股関節痛が出現,次第に増悪した.変形性関節症の進行予防を目的に右寛骨臼移動術を施行した.術前800mlの自己血貯血と術直前200m...
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Published in | 整形外科と災害外科 Vol. 63; no. 1; pp. 107 - 110 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
西日本整形・災害外科学会
25.03.2014
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Subjects | |
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ISSN | 0037-1033 1349-4333 |
DOI | 10.5035/nishiseisai.63.107 |
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Summary: | 【はじめに】von Willebrand病(vWD)は稀な遺伝性の出血性疾患で,von Willebrand因子(vWF)の量的減少(1型),質的異常(2型),完全欠損(3型)により一次止血が障害され出血傾向を来す.vWDでは二次的に第VIII因子も低下する.今回我々は2B型vWD患者に対し寛骨臼移動術を行ったので報告する.【症例】30歳,女性.出生時に2B型vWD(血小板膜に対する結合能の異常亢進症)と診断された.15歳時に両側臼蓋形成不全と診断され,5年前より右股関節痛が出現,次第に増悪した.変形性関節症の進行予防を目的に右寛骨臼移動術を施行した.術前800mlの自己血貯血と術直前200mlの希釈式自己血貯血を行った.手術日から術後6日目にかけて,第VIII因子/vWF濃縮製剤(コンファクトF)を投与し,出血をコントロールすることができた.本症例に対し,当院で施行した寛骨臼移動術における術中術後出血経過の比較および文献的考察を加え報告する. |
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ISSN: | 0037-1033 1349-4333 |
DOI: | 10.5035/nishiseisai.63.107 |