椎骨動脈蛇行により脊髄症状を呈した1例

症例は50歳男性,右下肢の脱力,歩行困難が出現し当科受診となった.神経学的には脳神経症候は無く,右下肢筋力低下,右優位の上下肢深部腱反射の亢進,右側のBabinski反射を認め,また右側のAnkle clonusも陽性で,右側優位の脊髄症状であった.脊髄MRI,脊髄造影検査にて有意な脊髄圧迫所見は認めず,また採血・髄液検査でHTLV-1 associated myelopathyや脊髄炎を疑う所見はなかった.更に精査行い,頭部MRI/MRAにて左椎骨動脈の蛇行と,蛇行による延髄の圧迫を認め責任病変と考えられた.椎骨動脈の延髄圧迫により,脳神経症状を合併せずに片側下肢の痙性麻痺を呈する症例は非常...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 69; no. 3; pp. 661 - 665
Main Authors 幸, 博和, 岡田, 誠司, 坂本, 幸成, 川口, 謙一, 中島, 康晴, 松下, 昌史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.09.2020
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.69.661

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Summary:症例は50歳男性,右下肢の脱力,歩行困難が出現し当科受診となった.神経学的には脳神経症候は無く,右下肢筋力低下,右優位の上下肢深部腱反射の亢進,右側のBabinski反射を認め,また右側のAnkle clonusも陽性で,右側優位の脊髄症状であった.脊髄MRI,脊髄造影検査にて有意な脊髄圧迫所見は認めず,また採血・髄液検査でHTLV-1 associated myelopathyや脊髄炎を疑う所見はなかった.更に精査行い,頭部MRI/MRAにて左椎骨動脈の蛇行と,蛇行による延髄の圧迫を認め責任病変と考えられた.椎骨動脈の延髄圧迫により,脳神経症状を合併せずに片側下肢の痙性麻痺を呈する症例は非常にまれであり,診断に難渋する.痙性麻痺の鑑別疾患の一つとして重要と考えられた.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.69.661