短時間高強度運動がその後の持久性トレーニング中の 脂質酸化量に及ぼす影響

「I 緒言」陸上競技長距離走のパフォーマンスは最大酸素摂取量(以下「VO2max」と略す), 無酸素性代謝閾値(以下「%VO2max at AT」と略す), 走の経済性(以下「RE」と略す)の三要因によって約70%を説明できると報告されている(McLaughlin et al., 2010; Midgley et al., 2007; Takayama et al., 2018; Tjelta et al., 2012). したがって, 長距離走で優れたパフォーマンスを発揮するにはトレーニングによって三要因を向上させることが重要である. 一方, 42.195kmを走るマラソンは莫大なエネルギー...

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Published in体育学研究 Vol. 69; pp. 285 - 297
Main Authors 鍋倉, 賢治, 大木, 祥太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本体育・スポーツ・健康学会 2024
日本体育・スポーツ・健康学会
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ISSN0484-6710
1881-7718
DOI10.5432/jjpehss.23076

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Summary:「I 緒言」陸上競技長距離走のパフォーマンスは最大酸素摂取量(以下「VO2max」と略す), 無酸素性代謝閾値(以下「%VO2max at AT」と略す), 走の経済性(以下「RE」と略す)の三要因によって約70%を説明できると報告されている(McLaughlin et al., 2010; Midgley et al., 2007; Takayama et al., 2018; Tjelta et al., 2012). したがって, 長距離走で優れたパフォーマンスを発揮するにはトレーニングによって三要因を向上させることが重要である. 一方, 42.195kmを走るマラソンは莫大なエネルギーを消費するため運動の主要なエネルギー源であるグリコーゲンの節約という観点が重要な競技になる. マラソンのエネルギー消費量は体重60kgの人の場合は約2500kcalとなる(Margaria et al., 1963). 体内に貯蔵したグリコーゲンは同程度の体重の人で筋に約1600kcal, 肝臓に約400kcalの合計約2000kcalしか貯蔵されていないため, 前述のマラソンの消費エネルギーを賄えず, グリコーゲンの枯渇から走速度の失速を引き起こすことがある(Nikolaidis and Knechtle, 2017).
ISSN:0484-6710
1881-7718
DOI:10.5432/jjpehss.23076