原腸陥入運動とケモカインシグナル
「1. はじめに」 われわれヒトを含む脊椎動物は魚から鳥, 哺乳類までさまざまな外見をもつが, 一目でそれが動物であることがわかる. たとえば, 前方に頭があり, 後方に尾がある. 背中側に背骨があり, 腹側に内臓をもつ. これら脊椎動物に共通な体の基本構造, ボディプランは原腸陥入運動によりつくられる. 原腸陥入はほぼすべての動物で胚発生の初期に見られる, 非常に複雑で協調的な細胞の運動である. 原腸陥入運動により, 表皮や神経となる外胚葉, 筋肉や骨となる中胚葉, および内臓諸器官となる内胚葉が正しい位置へ配置され, また前後軸, 背腹軸, 左右軸などの体軸が決定される. 両生類の胚は,...
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Published in | 生物物理 Vol. 48; no. 1; pp. 023 - 029 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本生物物理学会
2008
日本生物物理学会 |
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ISSN | 0582-4052 1347-4219 |
DOI | 10.2142/biophys.48.023 |
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Summary: | 「1. はじめに」 われわれヒトを含む脊椎動物は魚から鳥, 哺乳類までさまざまな外見をもつが, 一目でそれが動物であることがわかる. たとえば, 前方に頭があり, 後方に尾がある. 背中側に背骨があり, 腹側に内臓をもつ. これら脊椎動物に共通な体の基本構造, ボディプランは原腸陥入運動によりつくられる. 原腸陥入はほぼすべての動物で胚発生の初期に見られる, 非常に複雑で協調的な細胞の運動である. 原腸陥入運動により, 表皮や神経となる外胚葉, 筋肉や骨となる中胚葉, および内臓諸器官となる内胚葉が正しい位置へ配置され, また前後軸, 背腹軸, 左右軸などの体軸が決定される. 両生類の胚は, 体外で発生が進行し, 簡単な装置で観察できることから, 古くから初期発生の研究材料として用いられてきた. さらに外科的手術が可能であること, これまでの研究が蓄積されていることから原腸陥入運動を研究する上で優れた素材であると考えられる. ここでは, アフリカツメガエルXenopus laevisを材料とした原腸陥入時の細胞運動と原腸陥入時のケモカインシグナルの役割について紹介したい. |
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ISSN: | 0582-4052 1347-4219 |
DOI: | 10.2142/biophys.48.023 |