着衣人体に対する日射の影響の理論的・実証的考察
本研究はNet radiation methodに基づいて,単品衣服の吸収率・反射率・透過率を用いて重ね着衣服の正味の日射吸収率・透過率を推定し,実測値と比較した.また,着衣に吸収された日射熱の一部は皮膚表面へ再放出されるはずだが,従来の研究ではすべて環境側に再放出されると仮定していた.本研究は日射の再放出と人体部位差を考慮して熱収支式を立て,サーマルマネキンを用いた屋外実測を行い,その妥当性を検証した.その結果,たとえ正味の日射吸収率・透過率を考慮したとしても,理論上マネキンに吸収される日射熱の7割弱しか吸収されていないことが示された.この比率を用いれば,日射の体感影響の評価をより実態に近づ...
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Published in | 日本生気象学会雑誌 Vol. 55; no. 1; pp. 19 - 31 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本生気象学会
01.06.2018
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Summary: | 本研究はNet radiation methodに基づいて,単品衣服の吸収率・反射率・透過率を用いて重ね着衣服の正味の日射吸収率・透過率を推定し,実測値と比較した.また,着衣に吸収された日射熱の一部は皮膚表面へ再放出されるはずだが,従来の研究ではすべて環境側に再放出されると仮定していた.本研究は日射の再放出と人体部位差を考慮して熱収支式を立て,サーマルマネキンを用いた屋外実測を行い,その妥当性を検証した.その結果,たとえ正味の日射吸収率・透過率を考慮したとしても,理論上マネキンに吸収される日射熱の7割弱しか吸収されていないことが示された.この比率を用いれば,日射の体感影響の評価をより実態に近づけることができる.本稿において,この比率を衣服の日射伝熱効率と定義した.重ね着衣服の正味の日射吸収率,新たに定義した日射伝熱効率を用いることにより,屋外体感指標の精度を向上できると期待される. |
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ISSN: | 0389-1313 1347-7617 |
DOI: | 10.11227/seikisho.55.19 |