肩甲骨関節窩に生じた骨内ガングリオンの1例

比較的稀な肩甲骨関節窩に生じた骨内ガングリオンの1例を経験したので報告する.症例は30歳男性,主訴は左肩痛.初診より1ヶ月前から特に誘因なく左肩痛が出現したため近医を受診し,X線,MRIで肩甲骨関節窩に異常陰影を指摘され当科外来を受診した.職業は自衛官であった.初診時,左肩関節に軽度の運動時痛を認め,JOAスコアは67点であった.単純X線で関節窩後下方に骨透瞭像を認め,同部位にCTにて直径11mmの嚢胞性病変を,MRIにてT1低信号,T2高信号の嚢胞性病変を認めた.その後疼痛は軽快したため経過観察としていたが,5ヶ月後に疼痛が再燃したため,CT,MRIを再度撮影したところ,嚢胞性病変の骨内から...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 67; no. 1; pp. 77 - 81
Main Authors 中西, 浩一朗, 水田, 博志, 徳永, 琢也, 唐杉, 樹, 井手, 淳二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.03.2018
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.67.77

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Summary:比較的稀な肩甲骨関節窩に生じた骨内ガングリオンの1例を経験したので報告する.症例は30歳男性,主訴は左肩痛.初診より1ヶ月前から特に誘因なく左肩痛が出現したため近医を受診し,X線,MRIで肩甲骨関節窩に異常陰影を指摘され当科外来を受診した.職業は自衛官であった.初診時,左肩関節に軽度の運動時痛を認め,JOAスコアは67点であった.単純X線で関節窩後下方に骨透瞭像を認め,同部位にCTにて直径11mmの嚢胞性病変を,MRIにてT1低信号,T2高信号の嚢胞性病変を認めた.その後疼痛は軽快したため経過観察としていたが,5ヶ月後に疼痛が再燃したため,CT,MRIを再度撮影したところ,嚢胞性病変の骨内から骨外への進展を認め,本症例は骨内ガングリオンの内因説を支持する症例と考えられた.活動性の高い若年男性であり,病的骨折の危険性を考え,掻爬および人工骨充填術を施行した.術後1年でJOA score 100点と良好な経過であった.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.67.77