ヒスチジン銅注射液の安定性およびヒスタミン含有量の検討

「緒言」銅は, 生体にとって必須の物質である. メンケス病は, セルロプラスミン(Cp)の先天的な産生不良が原因で血清Cpが低値を示すことにより, 小腸粘膜での銅の移送障害を発症する病態といわれている. 最近では, 遺伝性のCp欠損症が報告され1), 本症はCp合成遺伝子の突然変異によるものと考えられている. 銅はそれ自身では吸収が悪く, ヒスチジン, 酢酸あるいはEDTAと錯体を作ることで吸収が促進される2). 岡山大学医学部, 歯学部附属病院(当院)では, 既報に準じて3, 4)L-ヒスチジンを採用してヒスチジン銅注射液を無菌調製している. 院内製剤の安定性の検討は, 製剤の品質保持などの...

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Published in医療薬学 Vol. 32; no. 11; pp. 1133 - 1137
Main Authors 出石, 通博, 川島, 理恵子, 徳永, 紳, 横山, 紀子, 千堂, 年昭, 松香, 直行, 亀井, 千晃, 河崎, 陽一, 五味田, 裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 2006
日本医療薬学会
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ISSN1346-342X
1882-1499
DOI10.5649/jjphcs.32.1133

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Summary:「緒言」銅は, 生体にとって必須の物質である. メンケス病は, セルロプラスミン(Cp)の先天的な産生不良が原因で血清Cpが低値を示すことにより, 小腸粘膜での銅の移送障害を発症する病態といわれている. 最近では, 遺伝性のCp欠損症が報告され1), 本症はCp合成遺伝子の突然変異によるものと考えられている. 銅はそれ自身では吸収が悪く, ヒスチジン, 酢酸あるいはEDTAと錯体を作ることで吸収が促進される2). 岡山大学医学部, 歯学部附属病院(当院)では, 既報に準じて3, 4)L-ヒスチジンを採用してヒスチジン銅注射液を無菌調製している. 院内製剤の安定性の検討は, 製剤の品質保持などの観点から非常に重要であり, さらに安定性の検討とともに, 主薬などからの副産物による生体への影響の検討は副作用などの観点から非常に重要であり, 薬剤師の専門性を発揮できるところである. L-ヒスチジンはヒスチジン脱炭酸酵素により脱炭酸され, ヒスタミンが生成されると考えられているが, その詳細については明らかでない. また, 購入したL-ヒスチジン自体, 無菌ではない上にヒスタミ. ンが含有されている可能性も考えられる.
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.32.1133