慢性再発性多発性骨髄炎の1例

慢性再発性多発性骨髄炎(chronic recurrent multifocal osteomyelitis,以下CRMO)の1例を経験した.症例は8歳の女児.7歳8カ月時に誘因なく右足部に発赤・腫脹・疼痛が出現.MRI上左1-5趾に信号異常が散在し化膿性骨髄炎と診断したが臨床症状は軽微で抗菌薬投与数日で症状軽快した.約1年後に左5趾と右2趾の腫脹・疼痛が出現しMRI上両足部に同様の信号異常を認め病巣部の骨生検を実施したが,肉眼上明らかな化膿性病変はなく,病理上慢性骨髄炎の所見を認めたが骨腫瘍や化膿性骨髄炎は否定的であった.以上よりCRMOと診断し抗菌薬投与を中止し消炎鎮痛剤を投与し,症状軽快...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 62; no. 1; pp. 32 - 37
Main Authors 金丸, 由美子, 川原, 俊夫, 島内, 誠一郎, 光武, 聖史, 前原, 史朋, 牧野, 佳朗, 宮原, 健次
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.03.2013
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.62.32

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Summary:慢性再発性多発性骨髄炎(chronic recurrent multifocal osteomyelitis,以下CRMO)の1例を経験した.症例は8歳の女児.7歳8カ月時に誘因なく右足部に発赤・腫脹・疼痛が出現.MRI上左1-5趾に信号異常が散在し化膿性骨髄炎と診断したが臨床症状は軽微で抗菌薬投与数日で症状軽快した.約1年後に左5趾と右2趾の腫脹・疼痛が出現しMRI上両足部に同様の信号異常を認め病巣部の骨生検を実施したが,肉眼上明らかな化膿性病変はなく,病理上慢性骨髄炎の所見を認めたが骨腫瘍や化膿性骨髄炎は否定的であった.以上よりCRMOと診断し抗菌薬投与を中止し消炎鎮痛剤を投与し,症状軽快した.CRMOは自己炎症性疾患の1つで,インフラマソーム・IL-1β系の遺伝的異常により起こると考えられている.本邦での報告は稀で,遺伝子解析など進んでいるが治療法や長期予後について未だ不明な点が多い.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.62.32