機械的腸管処置を行わない大腸切除術の成績

大腸癌手術での機械的腸管前処置(mechanical bowel preparation:MBP)について,周術期管理の見直しを行う過程で,術前MBPを順次省略・変更することを行ったので,その成績につき大阪医療センターでの経験を報告する。第1期(全症例MBP)では手術部位感染(surgical site infection:SSI)は19例中7例(36.8%)であった。第2期(直腸のみグリセリン浣腸)では,17例中3例(17.6%)であった。ともに直腸癌症例で縫合不全を発症し重篤化した。第3期では直腸癌症例にMBPを開始したところSSIを認めなかった。しばらく継続して症例を重ねると,第3―5期...

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Published in日本外科感染症学会雑誌 Vol. 16; no. 4; pp. 217 - 221
Main Authors 松山, 仁, 加藤, 亮, 安井, 昌義, 山田, 晃正, 三嶋, 秀行, 遠藤, 俊治, 津田, 雄二郎, 池永, 雅一, 家出, 清継, 太田, 勝也, 上田, 正射, 中島, 慎介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本外科感染症学会 31.08.2019
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ISSN1349-5755
2434-0103
DOI10.24679/gekakansen.16.4_217

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Summary:大腸癌手術での機械的腸管前処置(mechanical bowel preparation:MBP)について,周術期管理の見直しを行う過程で,術前MBPを順次省略・変更することを行ったので,その成績につき大阪医療センターでの経験を報告する。第1期(全症例MBP)では手術部位感染(surgical site infection:SSI)は19例中7例(36.8%)であった。第2期(直腸のみグリセリン浣腸)では,17例中3例(17.6%)であった。ともに直腸癌症例で縫合不全を発症し重篤化した。第3期では直腸癌症例にMBPを開始したところSSIを認めなかった。しばらく継続して症例を重ねると,第3―5期(直腸にMBP)ではSSIは125例中14例(11.2%)であった。重篤な合併症はなかった。結腸癌症例ではMBP省略が可能と考えられる一方で直腸癌症例では,縫合不全など合併症を併発すると重篤化することがあり,MBPは必要と考えられた。
ISSN:1349-5755
2434-0103
DOI:10.24679/gekakansen.16.4_217