大腿四頭筋断裂に対して自家半腱様筋腱を用いて修復・補強を行った1例

外傷性大腿四頭筋腱断裂に対して,腱修復と自家半腱様筋腱を用いた補強を行った症例を経験したので報告する.症例は58歳男性,糖尿病の既往あり.降段中に,右脚を踏み外し受傷,歩行困難となった.右膝自動伸展不能で,膝蓋骨近位部には陥凹を認め著明な圧痛を認めた.MRIにて大腿四頭筋腱の完全断裂を認め修復手術を行った.手術では腱断端にKrackow縫合をかけ膝蓋骨へ作成した骨孔へPull-outし締結固定し,さらに自家半腱様筋腱を用いて補強を追加した.術後早期より可動域訓練を開始,2週免荷後徐々に荷重歩行を行った.術後4ヶ月時点で膝関節可動域は伸展0°,屈曲145°そしてExtension Lagは患健差...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 69; no. 1; pp. 85 - 88
Main Authors 田中, 稔一郎, 後藤, 昌史, 木内, 正太郎, 大川, 孝浩, 志波, 直人, 田渕, 幸祐
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.03.2020
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.69.85

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Summary:外傷性大腿四頭筋腱断裂に対して,腱修復と自家半腱様筋腱を用いた補強を行った症例を経験したので報告する.症例は58歳男性,糖尿病の既往あり.降段中に,右脚を踏み外し受傷,歩行困難となった.右膝自動伸展不能で,膝蓋骨近位部には陥凹を認め著明な圧痛を認めた.MRIにて大腿四頭筋腱の完全断裂を認め修復手術を行った.手術では腱断端にKrackow縫合をかけ膝蓋骨へ作成した骨孔へPull-outし締結固定し,さらに自家半腱様筋腱を用いて補強を追加した.術後早期より可動域訓練を開始,2週免荷後徐々に荷重歩行を行った.術後4ヶ月時点で膝関節可動域は伸展0°,屈曲145°そしてExtension Lagは患健差5°であり,経過は良好と考えられる.腱修復に加え補強を行うことでより安全に術後早期の可動域訓練,筋力訓練を行うことができ,機能障害の発生を低下させることができると考えられた.また自家半腱様筋腱による補強修復は膝蓋腱断裂に対して行われている方法であるが大腿四頭筋腱断裂に対しても有用な方法であると考えられた.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.69.85