造血器腫瘍患者に対するがん化学療法において薬学的ケアがもたらす医療経済学的効果

「緒言」 医療技術の高度化ならびに少子高齢化が, わが国の医療財政を逼迫している. そのため, 診断群分類別包括評価制度(以下, DPCと略す)が, 平成15年度から一部実施されるなど, 医療の標準化および効率化を目指した医療制度改革が進められている. このような情勢変移のなかにあって, 薬剤師による処方の適正化ならびに副作用の回避も, わが国の医療費を抑制するうえで重要な役割を果たすと考えられる. すでに, DPCの利用が, 副作用の回避に伴う医療費の節減効果に貢献できることが報告されている1,2). がん化学療法の場合, その質的向上を目指すうえで, 薬剤師の担う役割は大きく, がん化学療...

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Published in医療薬学 Vol. 34; no. 12; pp. 1091 - 1096
Main Authors 安部, 敏生, 横山, 照由, 杉井, 彦文, 村頭, 智, 上田, 久美, 北澤, 文章, 高良, 恒史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 2008
日本医療薬学会
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ISSN1346-342X
1882-1499
DOI10.5649/jjphcs.34.1091

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Summary:「緒言」 医療技術の高度化ならびに少子高齢化が, わが国の医療財政を逼迫している. そのため, 診断群分類別包括評価制度(以下, DPCと略す)が, 平成15年度から一部実施されるなど, 医療の標準化および効率化を目指した医療制度改革が進められている. このような情勢変移のなかにあって, 薬剤師による処方の適正化ならびに副作用の回避も, わが国の医療費を抑制するうえで重要な役割を果たすと考えられる. すでに, DPCの利用が, 副作用の回避に伴う医療費の節減効果に貢献できることが報告されている1,2). がん化学療法の場合, その質的向上を目指すうえで, 薬剤師の担う役割は大きく, がん化学療法への薬剤師の積極的な参画が必須である3). また, 高額な薬剤の使用, 治療の高度化, 頻発する副作用などが, がん化学療法に係る医療費の増加を招いているのも実状である. したがって, 医療経済学的観点からも, がん化学療法は薬剤の適正使用を推進するべき領域と考えられる.
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.34.1091