ヒスタミンH1受容体遺伝子発現機構を標的とするアレルギー疾患治療薬の意義

[1. はじめに] ヒスタミンはアレルギー疾患の主要メディエーターであり, 標的細胞のヒスタミンH1受容体を介して主要症状が発現される. そして, ヒスタミンH1受容体拮抗薬(抗ヒスタミン薬)はアレルギー疾患の主要治療薬である. すなわち, 抗ヒスタミン薬はヒスタミンH1受容体を介するシグナルの遮断を利用したアレルギー疾患治療であると言える. 抗ヒスタミン薬以外のアレルギー疾患治療薬にもそれぞれのシグナルの遮断を介した治療薬が含まれる(Fig. 1). 一方, アレルギー疾患は代表的な多因子疾患である. アレルギー疾患において発現異常が引き起こされている種々の疾患関連遺伝子が見出されている....

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 127; no. 1; pp. 15 - 25
Main Author 福井, 裕行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.01.2007
日本薬学会
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Summary:[1. はじめに] ヒスタミンはアレルギー疾患の主要メディエーターであり, 標的細胞のヒスタミンH1受容体を介して主要症状が発現される. そして, ヒスタミンH1受容体拮抗薬(抗ヒスタミン薬)はアレルギー疾患の主要治療薬である. すなわち, 抗ヒスタミン薬はヒスタミンH1受容体を介するシグナルの遮断を利用したアレルギー疾患治療であると言える. 抗ヒスタミン薬以外のアレルギー疾患治療薬にもそれぞれのシグナルの遮断を介した治療薬が含まれる(Fig. 1). 一方, アレルギー疾患は代表的な多因子疾患である. アレルギー疾患において発現異常が引き起こされている種々の疾患関連遺伝子が見出されている. そして, 疾患関連遺伝子の中から, アレルギー疾患治療に有用な疾患感受性遺伝子の選択が現在の疾患治療法確立の重要な戦略である. ヒスタミンH1受容体発現レベルの低下は受容体脱感作機構の1つとして見出された. 1)そして, この機構はヒスタミンH1受容体自身のリン酸化がキーとなるステップであることが明らかになった. 2-4)これに対して, ヒスタミンH1受容体発現レベルは遺伝子発現機構によっても調節を受けていると考えられる. 5,6)遺伝子発現機構の詳細は不明の点が多いが, 少なくとも両機構のバランスの上にヒスタミンH1受容体発現レベルが決定されると考えられる(Fig. 2).
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.127.15