虫垂炎および肝膿瘍を発症した赤痢アメーバ症の1例

虫垂炎および肝膿瘍を発症した赤痢アメーバ症の1例を報告する。症例は45歳男性。入院5日前に発熱を主訴に近医を受診,抗菌薬を処方されたが改善なく,当院を紹介された。体温38.1℃,WBCおよび CRPが上昇していた。腹部 CTでは虫垂は腫大し壁は良く造影された。また,肝前上区域に径60mm大の低濃度腫瘤が認められた。虫垂炎および肝膿瘍の診断で,スルバクタム /セフォペラゾン4g/日投与を開始したが解熱なく,入院4日目にタゾバクタム /ピペラシリン13.5g/日に変更するとともに,エコー下肝膿瘍ドレナージを施行した。しかし,改善傾向なく,入院6日目,腹腔鏡下虫垂切除術を施行した。また,抗菌薬が無効...

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Published in日本外科感染症学会雑誌 Vol. 15; no. 6; pp. 678 - 682
Main Authors 三田, 孝行, 岩田, 真, 田端, 正己, 前田, 光貴, 阪本, 達也, 藤村, 侑, 大澤, 一郎, 加藤, 憲治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本外科感染症学会 31.12.2018
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ISSN1349-5755
2434-0103
DOI10.24679/gekakansen.15.6_678

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Summary:虫垂炎および肝膿瘍を発症した赤痢アメーバ症の1例を報告する。症例は45歳男性。入院5日前に発熱を主訴に近医を受診,抗菌薬を処方されたが改善なく,当院を紹介された。体温38.1℃,WBCおよび CRPが上昇していた。腹部 CTでは虫垂は腫大し壁は良く造影された。また,肝前上区域に径60mm大の低濃度腫瘤が認められた。虫垂炎および肝膿瘍の診断で,スルバクタム /セフォペラゾン4g/日投与を開始したが解熱なく,入院4日目にタゾバクタム /ピペラシリン13.5g/日に変更するとともに,エコー下肝膿瘍ドレナージを施行した。しかし,改善傾向なく,入院6日目,腹腔鏡下虫垂切除術を施行した。また,抗菌薬が無効なことからアメーバ性虫垂炎を強く疑い,術翌日からメトロニダゾールの内服を開始した。以後,次第に解熱し,10日間で MNZの投与を中止,第18病日に軽快退院した。赤痢アメーバ抗体は400倍と陽性で,摘出した虫垂からは赤痢アメーバ虫体が同定された。
ISSN:1349-5755
2434-0103
DOI:10.24679/gekakansen.15.6_678