扁摘・アデノイド切除後出血を契機に診断された血友病Aキャリアーの1症例

症例は4歳女児で, 睡眠時無呼吸に対して, 口蓋扁桃摘出術およびアデノイド切除を施行した. 術前血液検査ではAPTTの延長以外は正常範囲内であった. 手術は特に問題なく行われたが, 術後出血を繰り返し, 止血術を2回, 輸血を1回行った. 術後に家族歴を詳しく聴取したところ, 患児の叔父が軽症血友病であることが分かり, 患児は凝固因子検査の結果血友病Aキャリアーと診断された. 2回目の止血術後も出血が続いていたが, 第VIII因子製剤投与により止血した. 術前検査でAPTTの延長があった場合は, 血友病/血友病キャリアーを鑑別診断の1つとして念頭に置き精査を行い, 術前に診断をつけておくことが...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inStomato-pharyngology Vol. 20; no. 3; pp. 363 - 368
Main Authors 木谷, 芳晴, 西田, 明子, 宮田, 耕志, 福島, 英行, 藤木, 暢也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本口腔・咽頭科学会 10.06.2008
Japan Society of Stomato-pharyngology
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0917-5105
1884-4316
DOI10.14821/stomatopharyngology1989.20.363

Cover

More Information
Summary:症例は4歳女児で, 睡眠時無呼吸に対して, 口蓋扁桃摘出術およびアデノイド切除を施行した. 術前血液検査ではAPTTの延長以外は正常範囲内であった. 手術は特に問題なく行われたが, 術後出血を繰り返し, 止血術を2回, 輸血を1回行った. 術後に家族歴を詳しく聴取したところ, 患児の叔父が軽症血友病であることが分かり, 患児は凝固因子検査の結果血友病Aキャリアーと診断された. 2回目の止血術後も出血が続いていたが, 第VIII因子製剤投与により止血した. 術前検査でAPTTの延長があった場合は, 血友病/血友病キャリアーを鑑別診断の1つとして念頭に置き精査を行い, 術前に診断をつけておくことが安全に手術を行うために重要である.
ISSN:0917-5105
1884-4316
DOI:10.14821/stomatopharyngology1989.20.363